「敏感すぎる人」は、常に周りに気をつかい、自分よりも他人の気持ちを優先してしまう傾向がある。他人の気持ちに寄り添おうとするのは悪いことではないが、自分の「軸」がないと、他人に振り回されて疲弊してしまう。
そこで、敏感すぎる人は、自分自身へ意識を向けることから始めるといい。注意すべきは、「他人に振り回されているから、振り回されないようにしなくちゃ」というふうに「こうしなくてはいけない」というところまで考えないことである。「他人に振り回されているな」という今の思いを、ただ素直に感じることがポイントだ。
どれくらい「自分自身を生きる」ことができているか、ということを確認するために、次のようなことを考えてみよう。例えば、会議や発表の場で「君の意見を聞かせてほしい」と問いかけられた時に、はっきりと返答することができるだろうか? 間違ったらどうしよう。否定されるかもしれない。そんな不安が湧いて、プレッシャーを感じる人は、自分の中でなく外に答えを求めているので、生き方の軸が他人にある状態だ。また、友達のSNSの投稿を見て、なぜか落ち込んでしまうのも、他人軸で考えてしまっている影響であるといえる。
他人の軸に影響される人ほど、不安や怖れを感じて、「人にどう思われるか」が行動の基準になってしまう。中には、他人に迷惑をかけたくないために自分の弱さを隠したり、争いを避けるために我慢したりしてしまう人もいる。他人軸で生きてきた、真面目で優しい人ほど、「自分さえ我慢すればいい」と思ってしまうのだ。
また、他人軸で判断して、他人と自分を比べるために、自分はダメな人間だという罪悪感の感情を持ち続けてしまう人もいる。こうした人は、無意識に自分を罰するために、ハードな業務や人間関係を抱え込んでしまったり、恋愛においても問題のある人ばかりを選んでしまったりする。
こうした状況に心当たりはあるだろうか? 自分自身の姿に気づいて、少し心が痛くなるかもしれないが、気づくことは素晴らしい第一歩となる。
他人軸で考える癖に気づくことができたら、次に、なぜそうなってしまったのかというきっかけを探っていく。ここでも、前項と同様に、きっかけがあったらそれをただ思い出すだけ、見つめるだけにするのが大切だ。忘れたい経験があったとしても、それを含めて「自分」だからだ。
思春期の出来事は、周りを気にしすぎる癖をつくる原因になりやすい。学生時代は自意識が高まり、過敏になる時期だからだ。例えば、著者が以前カウンセリングをした女性クライアントは、中学生の頃にファッションを変えたところ、友人から変だと言われたことがあった。大人になると些細な出来事のように感じられるが、実はこういう経験で自信をなくしてしまうことも多い。
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