花粉症は1週間で治る!

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花粉症は1週間で治る!
著者
出版社
出版日
2018年02月09日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「花粉症は1週間で治る」と聞いても、「本当に?」と思う人がほとんどだろう。しかし著者にとって、そのような反応は折りこみ済みだという。なぜなら著者自身、重度の花粉症に悩まされていたのだから――かつては。

本書は花粉症のメカニズムと治療法の問題点を指摘したうえで、根本治療となる「オーソモレキュラー療法」を紹介・解説するものだ。オーソモレキュラー療法とは、体の分子に栄養を与えることで本来の機能を取り戻させ、自然治癒力を引き出すという栄養療法のことである。

人間の体はこれまでに食べてきた物からできている。だから食べるものを変えれば体質も変わるし、体質が変われば花粉症というアレルギーも克服できる。こうした著者の意見は論理的で、とてもわかりやすい。本書を読んでいると著者のいうように、「花粉症は治って当然」だと思えてくるだろう。

ちなみに栄養療法といっても、本書はきつい食事制限を推奨するものではないのでご安心を。あくまで「食べて治す」ことに重きを置いており、負荷の強いアドバイスはほとんどない。

花粉症治療に関する本ではあるが、本当のテーマはもっと大きい。花粉症の根本治療を通して、体を理想的な状態に近づけることが著者の真の狙いである。したがって花粉症に悩む人はもちろん、自分は花粉症ではないという人にとっても、有益な情報が得られるはずだ。

花粉症とはいますぐに決別できる、と思わせてくれる一冊である。

ライター画像
山田宗太朗

著者

溝口 徹 (みぞぐち とおる)
1964年、神奈川県に生まれる。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学付属病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開院。オーソモレキュラー療法の第一人者である。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニックを開設する。栄養学的アプローチで精神疾患や内科系疾患の治療にあたるとともに、患者・医者向けの講演会や、アスリートのための栄養指導もおこなっている。著書には『「うつ」は食べ物が原因だった!』(青春新書インテリジェンス)、『がんになったら肉を食べなさい』(PHPサイエンス・ワールド新書)、『この食事で自律神経は整う』(フォレスト出版)、『9割の人が栄養不足で早死にする!』(さくら舎)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    花粉症は対症療法では完治しない。足りない栄養素を補って、体質改善をする必要がある。それがオーソモレキュラー(分子整合栄養医学)だ。
  • 要点
    2
    体内の組織をよい状態に保ち、臓器の機能を高めるうえで重要なのはタンパク質である。とくに動物性タンパク質を積極的に摂取しつつ、その吸収率を高めるために腸内環境を整えるべきだ。
  • 要点
    3
    ビタミンDを取ることは花粉症予防に大きな効果がある。また糖質を控え、女性ならば鉄を、男性ならば亜鉛を摂取することも有効だ。そうすることで花粉症のみならず、体全体の免疫力が向上する。

要約

まちがいだらけの花粉症「治療」

花粉症の歴史

日本における花粉症の歴史は1961年にさかのぼる。アメリカ進駐軍がもちこんだブタクサによる報告が最初で、その2年後にスギ花粉症が確認された。

「花粉症」という呼び名が広く知られるようになったのは、1980年代に入ってからだ。戦後復興のために国内に植林されたスギが成木となり、一斉に花粉の飛散がはじまったことで、症状を訴える人が激増したといわれている。

一方で治療法の開発も進みはじめ、「抗ヒスタミン剤」と「ステロイド剤」がその中心となった。

花粉症のメカニズム
Kavuto/iStock/Thinkstock

本来無害な花粉を体が有害だと誤認して、それを排除しようと過剰に反応してしまうアレルギー反応、それが花粉症である。

人間の体には、細菌やウイルスなどを攻撃して排除する「免疫システム」が備わっている。これが正常に働いていれば、体に有害な異物を見分け、守るための反応を起こしてくれる。

しかしなんらかの理由で免疫システムが乱れると無害な物質、とくに「アレルゲン」と呼ばれる物質へ過剰に反応し、自分の体を傷つけてしまう。

アレルゲンになる可能性をもっているものは多数ある。スギ、ヒノキ、ブタクサといった花粉のほか、ウイルスや細菌、真菌、食べもの、ペットの毛やフケ、ダニやハウスダストなどもアレルギー反応を引き起こす。

これらのアレルギー反応が起きるメカニズムは同じであるため、なにかしらアレルギー症状のある人は、別のアレルギー症状を併せもつことが多い。

抗ヒスタミン剤とステロイド剤

花粉症の治療に使われる抗ヒスタミン剤は、アレルゲンが体内に入ったとき、ヒスタミンが受容体と結合してアレルギー反応が起きるのを防いでくれる。しかしヒスタミンは脳内だと神経伝達物質として機能しており、集中力や判断力、覚醒の維持などに関係している。かつて使われていた「第1世代」の抗ヒスタミン剤の問題点は、脳内のヒスタミンも抑えられてしまうことにあった。

またステロイド剤も花粉症治療に使われている。これは体内の副腎皮質で分泌されるステロイドというホルモンを、人工的につくりだしたものだ。ヒスタミンによって引き起こされた粘膜の炎症を鎮めたり、免疫系などの反応を低下させて、アレルギー反応を抑えたりする作用がある。強い効き目があるが、そのぶん副作用も大きい。ステロイドを使用すると、副腎は体に充分なステロイドがあると勘違いし、その働きを落としてしまう。そして本当に必要なとき、分泌されなくなってしまうのだ。

いま抗アレルギー剤の主流として用いられているのは、「第2世代」の抗ヒスタミン剤である。第1世代のものとはちがい、こちらは鎮静作用がほとんどない。とはいえいずれにせよ対症療法にとどまり、花粉症を完治させるものではない。

現時点での最新治療
Karlevana/iStock/Thinkstock

現時点における最新の治療法は、大きく分けて2つある。

1つ目はレーザーによる手術療法だ。鼻の粘膜にレーザーを当てて、一部を除去。花粉に反応する粘膜の面積を狭くし、アレルギー反応を軽減しようという外科的な療法である。

この療法は一時的によく効くが、問題もある。粘膜は再生能力が高いため、1~3年すれば症状がまた出てきてしまうのだ。すると再度レーザーをすることになるのだが、そうすると粘膜はどんどん萎縮する。萎縮した粘膜はガンになりやすい。しかもかさぶたができたり、粘膜自体が分厚くなったりして、鼻をふさぐような状態にもなりかねない。

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要約公開日 2018.04.01
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