JALの心づかい

グランドスタッフが実践する究極のサービス
未読
JALの心づかい
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グランドスタッフが実践する究極のサービス
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JALの心づかい
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出版社
河出書房新社

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出版日
2021年04月06日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本人なら誰もが知るJAL。「JALのサービスは質が高い」と聞いて頷く人は多いだろう。実際のところ、JALは国内最大級の顧客満足度調査の国際航空部門の「ロイヤルティ」で5年連続、堂々の第一位を獲得している。

JALはなぜこれほど質の高いサービスを提供できるのか。本書はその秘密に迫っていく。サービス業に携わるビジネスパーソンはもちろん、その他の業種に携わる人も、JALのおもてなしのスキルは大いに役に立つだろう。

本書を手掛けたのは、ブックライターとして名高い上阪徹氏である。経営、金融、ベンチャーなど幅広い分野でのインタビュー経験を活かし、数十時間の取材によって本書を完成させた。情熱あふれるスタッフの生の声に深く触れられる点も、本書の大きな魅力である。

もう一つ特筆すべき点として、「グランドスタッフ」に焦点を当てているという点が挙げられる。航空業界というと客室乗務員の印象が強い。しかし、空港で真っ先に出迎えてくれるグランドスタッフも、JALを支える重要な存在である。

社員の行動哲学「JALフィロソフィ」のもと、一歩先のサービスをどのように実現しているのか。グランドスタッフの日々の鍛練を知れば、サービスの質が高い理由にも心底納得するはずだ。次に空港を訪れる際には、これまでと違った角度からグランドスタッフたちを見ることができるだろう。「選ばれるサービス」作りに関わる方々に、ぜひお読みいただきたい。

※本稿は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

ライター画像
二村英仁

著者

上阪 徹(うえさか とおる)
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒業。
経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。
著書に、累計40万部を超えるベストセラーとなったインタビュー集『プロ論。』シリーズ(徳間書店)のほか、『あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNo.1大学になったのか?』(東洋経済新報社)、『社長の「まわり」の仕事術』(インプレス)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP社)など多数。
公式サイト http://uesakatoru.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    JALの破綻後に大きく変わったものは、「教育への取り組み」である。教育の中心にあるのが「JALフィロソフィ」と呼ばれる、全社員の行動哲学である。
  • 要点
    2
    グランドスタッフは、JALのサービスに対する顧客の第一印象を決める重要な位置づけとなる。
  • 要点
    3
    グランドスタッフの理想像は「お客さまに寄り添う」ことである。これを体現するため、身だしなみや表情、事前準備、コミュニケーションなどの観点から、期待される一歩先のサービスを提供している。

要約

なぜJALは選ばれるのか

JALが生まれ変わった理由

2010年1月19日、JALが経営破綻した旨を伝えるニュースは、世間を大きく騒がせた。しかし、その後わずか2年で経営状況は劇的に回復し、再上場を果たした。2012年~2017年まで、5年間の平均営業利益は1800億円台である。業界でも高い水準の成績を維持している。そして今では、様々なサービス評価で1位を獲得するエアラインへと生まれ変わった。

JALの破綻前後で最も変わったもの、それは教育への取り組みの充実である。JALは「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社」を第一の目標としている。その実現のためには、会社にとって「財(たから)」である社員を大切にしないといけない。執行役員で空港本部長を務める阿部孝博氏は、このように語る。

JALに入社を希望する社員の多くは「人と接することが好き」という動機でやってくる。したがって、会社が教育に力を入れて社員のスキルが上がれば、お客さまの満足度も高まる。そして、それが喜びとして社員にも返ってくる。つまり、教育に対する投資はスタッフのモチベーションアップにもつながるというわけだ。

その教育の根幹となるのが「JALフィロソフィ」である。これこそ、JALのサービスを大きく変えたといってよい。

全社員の行動哲学「JALフィロソフィ」
kazuma seki/gettyimages

JALフィロソフィは全社員にとっての「行動哲学」である。40項目で構成され、すべてJALのウェブサイトに掲載されている。

JALが破綻した際、再生の頼みの綱であった京セラ創業者の稲盛和夫氏が重視したのは、全社員の意識改革だった。「全員が心を一つにして一体感をもつ」(植木義晴氏/前社長)。これを実現するために、運航、整備、客室、空港、貨物などの各現場からメンバーが抜擢された。さらには、京セラからもアドバイザーを加えて、何度も内容を検討した末に完成したのが、JALフィロソフィである。まさに、現場の人間が作った、現場で働く人々に適した行動哲学だ。

しかし、どれほどよい哲学も、社員に浸透しなければ意味がない。JALのある職場では、「今日のJALフィロソフィ」を40項目の中から選び、仕事上でどのように実行するかを、ほぼ毎日発表しているという。策定から6年後には、グループ社員約3万3000人全員が、年3回JALフィロソフィを学ぶのが慣習となった。

このような徹底した努力があるからこそ、JALフィロソフィは経営の考え方、リーダーの行動、現場でのサービスにまで浸透しているのである。

第一印象を作るグランドスタッフと呼ばれる人々

「エアラインの差はサービス力でつく」。JALの植木義晴氏はこう確信している。低価格で勝負を仕掛ける航空会社も参入し、競争にさらなる拍車がかかる中、サービス力、人間力こそがエアラインの大きな武器となる。

エアラインのサービスにおいて、第一印象を決定づけるのがグランドスタッフだ。グランドスタッフの仕事は、チェックインカウンター、搭乗ゲート、ラウンジの担当、バックオフィスでの情報コントロール、パイロットの補佐など多岐にわたる。

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要約公開日 2022.07.08
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