「3か月」の使い方で人生は変わる

Googleで学び、シェアNo.1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」
未読
「3か月」の使い方で人生は変わる
「3か月」の使い方で人生は変わる
Googleで学び、シェアNo.1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」
未読
「3か月」の使い方で人生は変わる
出版社
日本実業出版社
出版日
2018年07月01日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

働き方改革の影響もあり、仕事の生産性を高めるための仕事術、タイムマネジメントに関する本はビジネス書コーナーに所狭しと並んでいる。しかし、「本当にやりたいこと」を現実化させるという視点に立った本は、どれくらいあるだろうか。仕事の効率化をして何を実現したいのか。それはどんな情熱に下支えされているのか。こうしたことを明確にしたうえで、時間の使い方と向き合うきっかけをくれるのが本書だ。

著者、佐々木大輔氏は、「クラウド会計ソフト freee」を生み出した、注目の起業家の一人である。佐々木氏によると、勉強や仕事、起業準備など、人生の転機となるテーマに取り組む際は、「3か月」をどう使うかが成否を分ける大きなポイントになったという。「時間術やタイムマネジメントとは、効率化して生み出した時間で、非効率なことに時間や情熱を注ぐことがゴール」。この発想に深くうなずいた。効率化できる部分をAIなどのテクノロジーがどんどん担うようになると、企業文化や信頼関係の構築など効率化できない部分こそ、人間が時間を注ぐ重要な領域になっていくはずだからだ。

本当にやりたいことに集中するために、どう時間をつくり、優先順位をどうつけるのか。佐々木氏のインターン時代やグーグルでの経験、そしてfreeeの起業・経営という実践に裏付けされた仕事術は、実に合理的で説得力が高い。

何か成し遂げたい目標があるなら、3か月思い切り力を注ごう――。そんな勇気が湧いてくる。時間の使い方を一新したい若手ビジネスパーソンのみならず、高度な生産性が求められる管理職の働き方のアップデートに最適な一冊だ。

ライター画像
松尾美里

著者

佐々木 大輔(ささき だいすけ)
freee(フリー) 創業者・代表取締役CEO。1980年東京生まれ。一橋大学商学部卒。大学在学中に派遣留学生として、ストックホルム経済大学(スウェーデン)に在籍。また、インターンをしていたインターネットリサーチ会社のインタースコープ(現・株式会社マクロミル)では、データ集計システムやマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は、株式会社博報堂でマーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。その後、未公開株式投資ファーム・CLSAキャピタルパートナーズでの投資アナリストを経て、株式会社ALBERTの執行役員CFOに就任。2008年に Google に参画。日本におけるマーケティング戦略立案、Google マップのパートナーシップ開発や、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括などを担当。中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。2012年7月、freee 株式会社を創業し、シェアNo.1クラウド会計ソフト「freee」等を提供している。日経ビジネス「2013年日本のイノベーター30人」「2014年日本の主役100人」、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング」BEST10に2015年、2016年選出。

本書の要点

  • 要点
    1
    1つのテーマに3か月間、しっかり向き合えば確実に変化を起こせる。
  • 要点
    2
    3か月間で取り組むテーマは、みんなが注目していない分野で、ワクワクするものを選ぶとよい。
  • 要点
    3
    目標設定では、自分でコントロールできるゴールをもち、高いモチベーションを持続するために、世の中の「問題解決」につながるかどうかを意識することが重要だ。
  • 要点
    4
    3か月の行動に優先順位をつける際には、「やらないこと」を決めるとよい。

要約

「3か月」で人生は変わる

3か月間、1つのテーマに取り組む
scyther5/iStock/Thinkstock

何かをつかめる、何かが変わる。こうした手ごたえを得るのに必要な期間が「3か月」である。佐々木氏自身、勉強や仕事、起業準備など、人生の転機となるテーマに取り組む際は、3か月という期間を積極的に活用していたという。極論すると、この期間は、1つのテーマに毎日全力投球して集中できる限界でもある。3か月なら、飽きることなく高い関心を保って楽しく取り組める。

この間、1つのテーマにしっかり向き合えば、何かしらの成果を出し、自分の成長を実感できる。3か月は確実に変化を起こせる最小単位なのである。

3か月がポイントとなったfreeeの開発

現在では日本一のシェアを誇る「クラウド会計ソフト freee」の開発も、3か月がポイントだった。佐々木氏は起業する前、グーグルで日本の中小企業向けマーケティングの統括責任者を務めていた。

中小企業の多くはテクノロジーの導入やインターネットの活用が遅れており、さらには開業率も他国と比べて低い。こうした状況への危機感を募らせ、「テクノロジーの力で、中小企業の経営者を応援する事業がしたい」という思いが湧きあがった。とりわけ、過去の経験から経理業務を効率化させる必要性をひしひしと感じていたため、クラウドサービスを利用した自動会計ソフトという構想が頭に浮かんだ。

まずは3か月間で、原型を自分でつくればいいのではないか。佐々木氏は仕事の合間に、寝る間も惜しんでプログラミングを独学した。その結果、3か月後には「freee」のアイデアを具体化でき、「最悪、自分一人でもそこそこつくれるかもしれない」という手ごたえを得られた。そして次の3か月のテーマは、「freee」をビジネスとして展開させるうえで、それに耐えうる仕組みをともに開発・運用できる仲間探しへとシフトしていった。

「たかが3か月」は「されど3か月」。この集中期間のおかげで、中小企業にとどまらず、あらゆる規模の企業に利用される「これまでになかったサービス」を生み出すことが可能となった。

【必読ポイント!】 3か月の「テーマ」を決める

ニッチな分野で、ワクワクするテーマを
jacoblund/iStock/Thinkstock

では3か月間取り組むテーマをどう選ぶのか。まずは、自分の心がワクワクするかどうかである。もちろん、一見興味がもてない課題が与えられることもあるだろう。そんなときは、その課題を解決した先にどんな意味や意義があるのか、思いを馳せてみるとよい。「面白い」は誰かが提供してくれるものではなく、自分で発見するものだ。

3か月間で取り組むテーマは、みんなが注目していない分野から選ぶとよい。こうした分野はあまり投資や開発がされていない「穴場」であることが多いからだ。その結果、世の中にインパクトを与える成功体験が生まれ、自分の人生を好転させることにもつながる。

「やりたい」と「できる」の重なりを見つける

みんなが注目していないニッチな分野でワクワクするテーマが見つかったら、次はそれが自分に「できそう」かどうかを考えてみる。佐々木氏が「freee」を開発するうえで「できる」と感じた面は、インターン時代にシステムを開発した経験や、データソリューションカンパニーのALBERTで、非効率な経理業務の状況を目の当たりにしてきた経験だった。これが、「中小企業のテクノロジー導入が遅れている現状に対して何とかしたい」という「やりたい」と重なり合った。そのとき、「スモールビジネスの根幹を変えるサービスがつくれる」という確信を得たのである。

この「やりたい」と「できる」の重なりを見つけるには、普段の延長線上にないことに意識的に挑戦し、もがいてみるのが近道だ。すると、選択肢が徐々に増えていくにちがいない。

それは「マジで価値ある」ことか?

3か月間取り組みたいテーマが見えてきたら、こう自問してほしい。「その解決策は本当にベストか、価値があるのか」。この問いがブレない軸をつくるきっかけとなる。

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要約公開日 2018.06.22
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