働く大人のための「学び」の教科書

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出版社
かんき出版

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出版日
2018年01月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

80歳まで働く人生が当たり前となる時代が訪れたとき、必要とされる人材でいられるのか。こうした課題意識のもと、いま多くのビジネスパーソンがキャリアや自分の能力を高めるべく、日々学びに励んでいる。しかし、ほとんどの人は我流で実践する。そのため、学びの成果が思うように得られず、道を見失ってしまう。

著者は「働く大人が学びのスタイルを確立し、100年ライフを生き抜くスキルを身につける」をテーマに、20年以上も人材開発の研究に携わってきた。その英知を惜しみなく公開したのが本書だ。

これまで「学び方」そのものを教わってこなかったビジネスパーソンにとって、本書の内容は貴重なものばかりだ。学びを確実にスキルへと変える方法が習得できるのはもちろん、「そもそも何を学べばよいかわからない」という根源的な悩みもなくなるに違いない。長年の研究から生まれた大人の学び「3つの原理原則」、学びを加速する「7つの行動」は強力な武器になってくれるはずだ。

そして、さまざまな学びのロールモデルが多数紹介されているのも、本書の魅力の1つである。それぞれが何を考え、どのように奮闘してきたのか。彼らの失敗からの教訓や成功の秘訣は、今後の方向性を考える上で非常に参考になるだろう。仕事は人生の大半を占める。本書を手に、思い通りのキャリアマップを描いていただきたい。

ライター画像
二村英仁

著者

中原 淳(なかはら じゅん)
東京大学 大学総合教育研究センター准教授。東京大学大学院 学際情報学府(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。
北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等をへて、2006年より現職。「大人の学びを科学する~働く大人の学びと成長」をテーマに、企業の人材開発・リーダーシップ開発について研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。
おもな単著(専門書)に『職場学習論』『経営学習論』(東京大学出版会)、一般書に『研修開発入門』(ダイアモンド社)、『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書ラクレ)、『はじめてのリーダーのための 実践!フィードバック』(PHP研究所)など、他共編著多数。
人材育成・キャリア開発・リーダー育成に関する様々な研修、ワークショップを実施。研究の詳細はNAKAHARA-LAB.net(ブログ)で。

本書の要点

  • 要点
    1
    今後、仕事人生は長期化する。必要なスキルや知識を習得するためにも「大人の学び」が重要である。これからの時代は、変化する環境に自らを適用することが求められる。
  • 要点
    2
    大人の学びには、「3つの原理原則(背伸びの原理、振り返りの原理、つながりの原理)」がある。
  • 要点
    3
    学びを加速させるのが「7つの行動」である。それぞれ、タフアサイメント、本を1トン読む、人から教えられて学ぶ、越境する、フィードバックをとりに行く、場をつくる、教えてみる、である。

要約

【必読ポイント!】 なぜ大人の「学び」が必要なのか?

仕事人生の長期化
g-stockstudio/iStock/Thinkstock

著者は過去20年、主に2つのテーマで人材開発の研究を行ってきた。1つは、新入社員など経験の浅い人の早期育成だ。もう1つは、管理職やマネジャーになったばかりの人を一人前にするためのサポートである。キャリアのステップアップに関するこれらの研究は、いわば「登山の研究」だ。

一方、近年、著者が力を入れている研究は「長い人生を完走し、キャリアを全うするための研究」である。山を登るような研究に対して、下山あるいは再登山の研究といえよう。ここでの下山とは役割交代や仕事の変更を指す。また、再登山とは新たな目標を掲げて違った役割や組織で働くことを意味する。

著者がこの研究を始めた背景には「仕事人生の長期化」がある。平均寿命は年々延びる一方だ。仕事を続けて自分自身を守っていく必要があり、少なくとも、仕事人生が長くなるのは確実といえる。

下山や再登山でつまずく人の特徴

そんな中、下山や再登山が上手くできない人が存在する。彼らに共通する特徴は、「学び直すこと、変化することから逃げている」という点だ。時代の変化に従い、新たなスキルや知識の習得を怠った結果、長期化する仕事人生に対応できなくなるのである。

そこで重要となるのが「大人の学び」だ。大人の学びの目的は、行動によって得た経験を元に次のステージを見据えて変化することである。これからの時代に求められるのは、絶え間ない好奇心や興味を駆使して、変化する環境に自らを適用させる柔軟性だ。

大人の学びのポイントは、今後のキャリアを「自ら決める」姿勢である。決して他人や組織任せにしない強い意志が必要だ。しかし、私たちの多くは、これまでに大人の学びの方法について誰からも教わっていない。

海外と比較したとき、日本の大人の学びの現状は悲劇的ともいえる。たとえば、英語圏には日本のような社会人大学院は存在しない。そもそも海外の大学に通う年齢層はもとから様々で、大学院ともなれば、40代、シニアとさらに世代が幅広いのは当然といえる。海外の人々にとって、学びはより望ましいキャリアへ進むために一生続けるものである。

いまの社会は変化が目まぐるしい。学び続け、自分自身を変化させるための根本となるのが、「大人の学び」3つの原理原則である。

学びの基盤となる3つの原理原則

能力向上に欠かせない「背伸びの原理」
bowie15/iStock/Thinkstock

「大人の学び」3つの原理原則とは、「大人はどのようなときに学べるか?」を理解することである。学びの基盤となる考え方だ。

1つめは「背伸びの原理」である。成長の源泉は、いまの能力では少し難しく、しかし実現不可能ではないと感じることに向けた背伸びにある。ルーティンワークやタスクなど、余裕で対応可能な作業の繰り返しではなく、かといって難しすぎてもいけない。自分自身を常にモニタリングし、コンフォートゾーン(快適空間)とパニックゾーン(緊張空間)の間にあるストレッチゾーン(成長空間)に身を置くことが求められる。

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要約公開日 2018.07.03
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