都市経営は50年から100年という時間をかけて成果が現れる分野であり、二世代三世代を経て、ようやく花を咲かせる。したがって数年で到達可能な「やれること」ではなく、「やるべきこと」に取り組むべきである。
そのためには都市をひとつの企業に見立て、ヒト・モノ・カネの生産性を高め、平均所得の向上をめざすことが大切だ。企業と同じように、都市も他の都市とは競争関係にある。競争と協調を理解し、適切な判断ができる都市は発展する。逆にいうと、競争を意識せずに他の都市を真似たり、本来は戦う必要のない都市同士で潰し合いをしたりする都市は発展しない。どこと競争し、どこと競争してはいけないのかを見きわめる必要がある。
その都市独自の事業に取り組み、他にはない優位性を確立することで、都市は発展する。したがってトレンドを追うのではなく、その対極をめざすべきだ。
国というのは過去の成功事例を、全国で水平的に展開したがるものである。だがそもそも成功とは、リスクを負いながらも、それまで他の地域が考えつかなかったものにいち早く取り組んだからこそ、なし得るものである。同じことを一足遅れで取り組んでも成功にはつながらない。
最近では「人口減少によって地方が消滅する」といわれることが多く、全国各地で人口増を求める政策が強化されている。しかし実際には、人が住み続けている限り、地域そのものが一気に消滅することはない。むしろ人口が多すぎると行政効率は悪化するし、産業規模や密度が適切でなければ、人口増加によるデメリットも浮き彫りになる。
近年は上下水道や道路維持、自動運転といった、インフラ分野での新規技術が次々登場している。そのため低コストで環境を整備し、住人の生活を維持することも十分可能だ。
都市発展において重要なのは、稼ぎを拡大してコストを低下させることである。人口の多さだけでなく、人口規模、人口密度、人口構成を組み合わせて考えていくべきだ。
地元の有力大学や東京の大学の出身者にとって、いまや地方公務員は他の有名企業や国家公務員よりも魅力的な就職先となっている。
しかし都市発展という点で考えると、これは由々しき問題だ。なぜなら地方公務員には市場メカニズムが働かないため、生産性の低い環境で働くことになるからである。しかも地方公務員によい人材が流れると、地元民間企業ではよい人材が不足することになり、生産性の低下に繋がってしまう。
地方を活性化させるためには、優秀な人材を役所ではなく民間に集め、生産性を向上させたほうがいい。とくにイノベーションを起こしうる、民間のクリエイターを大切にするべきだ。
2016年の政令指定都市の人口ランキングにおいて、福岡市は神戸を抜いて第5位にランクインした。人口増加数・増加率ともに急増し、とくに若者人口の多さは政令市のなかで第1位だ。また在留外国人の増加率も高い。
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