銀行員は安定した職業だと認識されているが、終身雇用が保障されているわけではない。法律にのっとって定年が定められてはいるものの、入行後25年が経つと、ごく一部のエリートを除いた大半の人が銀行を去る仕組みになっている。
多くの場合は銀行が転職先を紹介してくれる。転職先は取引先や関係会社などが中心で、出向という形を取ることが多い。ただし出向といっても、銀行に戻ってくることはない。
銀行員である以上、定年前に転職をしなければならないとするならば、銀行員は積極的に自分のキャリアを考えていく必要があるだろう。常日頃から自分の進退を考えておかなければならない。
銀行員が定年前に転職するといっても、全員が同じタイミングで銀行を後にするわけではない。転職のタイミングは4つに大別される。
まず、20代だ。入行して数年以内に辞めていく行員である。銀行に憧れて入行したものの、理想と現実のギャップに苦しみ、多くは一般の事業会社に転職していく。
2つ目が、30代だ。何度かの異動を経て、自分自身の位置づけがわかってきたタイミングだ。優秀で自信がある人材ほど、きっかけを見つけて転職してしまう。ポテンシャルが高く組織人としての基礎知識もあり、環境の変化に柔軟に対応する力があるため、一般の事業会社からも人気がある層だ。
3つ目が、40代だ。入行して20年が経って能力差が顕在化した頃、同期との出世レースに敗れた人たちが転職しはじめる。このタイミングで行内に残っているのは、「行き場もないが行動を起こしもしない層」と「さらに昇進する可能性があるトップ層」のいずれかである。
最後に、50代だ。大手銀行では、50歳前後で役員に就任する行員が出てくる。役員になる同期が出る頃、それ以外の行員は銀行から離れるか、能力によっては銀行が用意してくれた外部ポストに就くこととなる。このレースが完了するのは、役員就任後5~6年内に決まるトップ人事によってだ。
銀行員は、他の業種と比較すると圧倒的に転職に有利だ。その理由は4つある。
1つ目に、銀行員のポテンシャルが高いからだ。偏差値的な学力が高いだけでなく、問題関知力にも優れている。
2つ目に、銀行員は善良な市民だというイメージが一般に浸透しているからだ。銀行員という職業は、採用する側に良い印象をもたらす。
3つ目に、
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