本書では、物語形式で「転職の思考法」が指南される。物語のあらすじを紹介しよう。
主人公である青野は、新卒入社した会社で働き続け、気づけば30歳になっていた。特別な才能や専門性はないし、大きな組織を率いた経験もない。このまま会社にいつづけても将来はないと頭ではわかっている。だが、どうしても転職する勇気が出ない。
そんな青野は、ひょんなことから凄腕の経営コンサルタント・黒岩に出会う。黒岩によれば、転職に恐怖を感じるのは当然のことだという。転職は多くの人にとって「初めての意思決定」だからだ。意思決定すれば、必ず何かを捨てなければならない。
躊躇する青野に、黒岩は質問を突き付ける。「このままで本当にいいのか?」。さらに50万円で「転職の思考法」をレクチャーしてあげようと言ってきた。もう後がないと思った青野は、黒岩のコンサルティングを受けることになった――。
物語は、青野が黒岩のコンサルティングを受ける形で進んでいく。要約では、黒岩によるコンサルティングの内容をいくつかのポイントに絞って取り上げる。
会社が潰れても食べていける人と食べていけない人の違いは、その人のマーケットバリュー、つまり市場価値にある。マーケットバリューとは、世の中から見た自分の値段のことを指す。マーケットバリューがある人間は、好きなときに会社を辞められるし、好きなところで働ける。マーケットバリューは、次の3つで決まる。
1つ目は、技術資産だ。他の会社でも発揮できる技術をどれくらい持っているかであり、専門性×経験で構成される。専門性は「営業」「マーケティング」など、職種に近いもの。経験は、「事業部長の経験」「子会社の経営」など、職種に紐づかない技術だ。20代で専門性を磨き、30代で経験を積むのがよい。
2つ目は、人的資産だ。いわゆる人脈である。年をとるにつれ重要度が増す。
3つ目は、業界の生産性である。その業界の人間が一人当たりどのくらいの価値を生み出しているかを指す。たとえば、金融業界の人間が20代で2000万円稼ぐ一方、ウエディング業界では30代後半でも年収200万円でも働いている。これは、業界によって1人あたりの生産性が異なっているからだ。もともと生産性が高い業界か、業界全体が伸びているかで判断する。技術資産も人的資産もない人は、衰退産業を選んではいけない。
伸びる産業を見つける方法は2つある。1つが、複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目することだ。「○○業界 ベンチャー」などと検索し、出てきた企業を片っ端から調べていこう。新しい会社がたくさんあり、投資も集まっているようであれば、伸びているマーケットに人と金が集まっている証拠だといえるだろう。
2つ目が、
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