世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバの表紙

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ


本書の要点

  • ミネルバ大学は既存の大学の悪習を打破し、学生の学びを一番に考え、「高等教育の再創造」をめざす。

  • ミネルバ大学には講義形式の授業はない。そのかわりに学生主体のセミナー式授業でインプットを、学外団体と連携してアウトプットをするというカリキュラムを提供している。

  • 実社会で応用できる「実践的な知恵」をミネルバ大学では教えている。そしてそれを“流暢に”使えるようになるまで鍛えるのだ。

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【必読ポイント!】 何を教えているのか

一生使える知恵を

ミネルバ大学で教えるのは、社会に出たときに応用して使える「実践的な知恵」だ。逆に既存の大学に多い、知識を伝えるためだけの講義はない。あくまで目的は「社会のあらゆる専門分野にも活用でき、キャリア育成においても有効な汎用的技能」を学ぶことなのである。とくに力を入れているのが、入手した情報を解釈して課題解決に向けて応用する技能と、自分の考えを効果的に伝えて望ましい結果を導くコミュニケーション能力の養成だ。この方針に従い、ミネルバ大学では「実践的な知恵」を、「個人の思考技能」と「集団でのコミュニケーション技能」の2種類に分類して教えている。

個人の思考技能

triloks/gettyimages

個人の思考技能は、「クリティカル思考」と「クリエイティブ思考」に分けられる。「クリティカル思考」とは、相手の主張の評価や意味の理解に加え、意思伝達における判断能力を指す。ここで必要なのは、データ解釈を正確におこない、自分の答えを導き出す力だ。さらにその答えを相手に伝えることでかかる労力とリターンが適切かどうか、予想外の反応があった場合はどうするか、といったところまで深掘りすることが求められる。「クリエイティブ思考」とは、突然アイデアが閃くというようなものではなく、「体系化され、教えることのできる一連のロジカルな思考プロセス」のことである。クリエイティブな発想をするために必要なのが、直面している問題を解決するために適した問いを自ら設定することだ。そしてその問いと現状との差を「解決する意味のあるもの」と「解決に大きな影響のないもの」に分解し、解決できる要素になるまで分解する。この分解の過程でさまざまな仮説・検証をおこない、データを蓄積していくのである。

集団でのコミュニケーション技能

集団でのコミュニケーション技能には、「効果的なコミュニケーション」と「効率的なインタラクション」がある。効果的なコミュニケーションをおこなうには、プレゼンテーションの形式と、読み手・聞き手の理解が重要だ。数百人を前にして発表するのと、少人数でミーティングをおこなうのでは、話し方も用意する資料も必然的に変わってくる。また会話相手の何気ない仕草や表情から、「言外の意味を感じ取る」ことも、国際的なプロジェクトをおこなううえでは欠かせない。一方で効率的なインタラクションは、交渉や協業、倫理的な問題を建設的に解決するためのものである。大きな組織で働く場合は、部分最適と全体最適の調整も必要になるものだ。ミネルバ大学ではリーダーシップだけでなくフォロワーシップの重要性についても学び、集団と個人の行動原理を理解することに重点を置いている。

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どのように教えているのか

授業の本来あるべき姿とは

Rawpixel/gettyimages

ミネルバでは全授業を「完全なアクティブ・ラーニング」でおこなうという原則のもと、講義式授業を禁止し、学生主体の学びを適用している。学生主体というのは、授業時間の最低75パーセントをグループワークや議論に充て、能動的な作業をおこなうということだ。使用する教材とコンセプトの予習は必須で、授業中は予習したコンセプトをもとに、クラスメイトとディスカッションすることが求められる。そして授業後に教員から、理解度や改善点などの詳細なフィードバックを受ける。またコンセプトをインプットした学生には、「どんな場所・状況でも、学んだコンセプトが有効に使えるか試すための機会」が用意される。学外団体とのプロジェクト学習やインターンシップなどを通じて、今度は学生たちがアウトプットをするのだ。このようにインプットとアウトプットを組み合わせることで、学生たちの「実践的な知恵」は鍛えられていく。

教員が話せるのは10分まで

ミネルバの授業を支えているのが、独自のオンライン・プラットフォーム「アクティブ・ラーニング・フォーラム」だ。

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要約公開日 2019.01.20
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