超入門 コトラーの「マーケティング・マネジメント」

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超入門 コトラーの「マーケティング・マネジメント」
出版社
かんき出版
出版日
2014年01月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「マーケティング」と聞くとあなたは何を思い浮かべるだろうか。多くの人は宣伝・広告や市場調査を思い浮かべるかもしれないが、それだけだと思っているのであれば大きな誤解である。マーケティングは非常に多くの要素を含んだ戦略なのだ。

本書はトップビジネススクールにおいてマーケティング・マネジメントのバイブルと言われている原書『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント(第12版)』をより分かりやすく明確かつシンプルにまとめた入門書である。

原書は大判約1000ページを超え、百科事典並の厚さがあり、専門家でも読破する事が難しいと言われている。しかしながら本書は身近なマーケティング手法を例に、原書のなかからポイントを捉えているため、マーケティングをイチから学ぶには最適の一冊と言えよう。マーケティング全体のプロセスが体系的かつ網羅的に記述されており、仕事で既にマーケティング・マネジメントに実際携わっている人にとっては復習用としても活用できる。

昨今のグローバルレベルでの競争は激化の一途を辿り、消費者は高品質の物を低価格で手に入れることに慣れてしまっている。企業が生き抜く為には更にプラスアルファの何かが必要になるのは間違いなく、より綿密なマーケティング・マネジメントが必要とされるだろう。ぜひ本書を手に取り、貴社のマーケティング戦略を見直すきっかけにしていただきたい。

著者

安部 徹也
株式会社MBA Solution代表取締役。1990年九州大学経済学部経営学科卒業後、太陽神戸三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。銀行退職後に渡米し、ビジネススクールThunderbirdに留学し、Global MBAを取得する。βΓΣ(ベータ・ガンマ・シグマ)会員。ビジネススクール卒業後に経営コンサルティング、およびビジネス教育を手掛ける事業にて起業。MBA Solutionを設立して代表取締役に就任する。現在主宰する「ビジネスパーソン最強化プロジェクト」には、2万5000人以上のビジネスパーソンが参加し、MBA理論を学んでいる。

本書の要点

  • 要点
    1
    マーケティングとは顧客のニーズを見極め、適切なタイミングと価格で製品を提供することで、顧客のほうから「売ってください」という状況を意識的に作る戦略のことである。
  • 要点
    2
    マーケティングは、①調査⇒②STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)⇒③マーケティング・ミックス(4P戦略)⇒④実施というプロセスを踏む。これらはサイクルとして回すことで、より精度の高いマーケティングを実現することができる。
  • 要点
    3
    コトラーは、マーケティングのサイクルのなかでもSTPにこそすべてのマーケティングの基本があると述べている。

要約

マーケティングの基礎知識

マーケティングとは何か?
Kheng guan Toh/Hemera/Thinkstock

マーケティングとは決して「自社製品を売り込むテクニック」のことではない。顧客が何を欲しているかを見極め、適切なタイミングと価格で製品を提供することで、顧客のほうから「売ってください」という状況を意識的に作る。そうすれば売上は自ずとついてくるものだ。企業活動の源泉は売上であり、マーケティングは売上を伸ばすために欠かせない要素であるため、企業にとって重要な戦略であることは間違いない。

また、マーケティングには科学的な側面もある。すなわち、実験を通じた客観的データによって説明ができ、かつ再現性も有しているということだ。大企業であっても、まずは小さな実験を繰り返して、そこから得られた結果をよく検証し、確信が出来れば全社レベルでのマーケティングを行う。

例えばマクドナルドで行われたコーヒーの無料提供が成功したのは、まず特定の店舗で実験を行い、その効果を確信した上で全国展開したからであった。

経営戦略で全社の方向性を決める

マーケティングは「顧客に価値を伝えるプロセス」と言い換えることもでき、付加価値を生み出すための企業の活動を細分化したものを「バリューチェーン」と呼んでいる。原材料の購買や、それらの加工や配送といった主活動だけでなく、人的資源の管理や技術開発なども踏まえ、価値向上には全社レベルで取り組む必要がある。

ただし、全てのプロセスを自社で執り行う必要はない。限られた経営資源の中で自社の得意とするプロセスを強化し、それ以外はアウトソースすることで、価値を飛躍的に高めることができる。例えばアップルは製品の企画やデザインと、製造後のマーケティング活動は自社で行っているが、製造工程は外部委託している。

マーケティング戦略は現場よりの機能戦略である。しかし、より上位の概念である経営戦略や事業戦略との一貫性を持たないと逆効果にもなりうる。まずは会社としてのミッションやビジョンを前提とし、その達成の為にマーケティング戦略を策定するということを忘れてはならない。

全社レベル、事業部レベルの戦略計画を立てて、各事業の成長機会に基づいた資源配分を行い、それを事業単位、製品単位に落とし込んでいく。事業単位では、外部環境・内部環境の分析を踏まえた目標を設定し、どのようにその目標を達成するかという考えに基づいて戦略を策定し実行に移す。実行後も結果を検証し、適宜修正していくことが求められる。

情報収集なくして成功ならず

市場機会を見定めよう

本書ではCHAPTER 2以降、①調査⇒②セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング⇒③マーケティング・ミックス(4P戦略)⇒④実施という戦略実行のプロセスごとに解説がなされている。これらはサイクルとして回すことで、より精度の高いマーケティングを実現することができる。この要約では、各パートにおいて紹介されている概念の一部を紹介したい。

CHAPTER 2では、市場機会を特定し、誤った方向への投資を防ぎリスク回避を実現するための「情報収集とデータ分析」について述べられている。

まず取り組むべきは「マクロ環境の分析」だ。

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要約公開日 2014.05.16
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