1からのマーケティング

The 1st step of marketing
未読
1からのマーケティング
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The 1st step of marketing
未読
1からのマーケティング
出版社
碩学舎
出版日
2009年02月01日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

マーケティングという言葉は聞いたことがあるけれど、何のことだか今一つわかっていない方。マーケティングを学んだけれど、説明しようとすると言葉につまってしまう方。本書はまさにそんな方々にうってつけの1冊だ。

大学の教科書にも使われている本書は、マーケティングそのものの基本的な考え方から、マーケティング論の中核をなすマーケティング・マネジメント論、マーケティング・リサーチ論、流通(システム)論、ソーシャル・マーケティング論まで網羅的にカバーする。

読みやすさ、使いやすさが重視され、各章に実際に行われた企業のマーケティング活動の事例が盛り込まれている。事例は、ニコンのデジタル一眼レフカメラや、資生堂のツバキ、ネスレのキットカットなど、生活に身近なものが選ばれており、興味がそそられるままに読み進めるとマーケティングの面白さがわかってくるように工夫されている。

基本理論を説明するコラムや、各章の終わりにはさらなるステップアップとして読むべき参考書も紹介されているため、まず本書でマーケティングの概要をつかみ、とくに自分の掘り下げたい分野についての学びの道筋を得るという使い方もできるだろう。

マーケティングを専門に扱う部署を組織している企業はもはや珍しくはなく、最近は官公庁や病院、学校といった組織でも、マーケティングや顧客志向という言葉が使われるようになっているという。このあたりでひとつ学びなおさねば、と思っている方には入門に最適の本書をおすすめしたい。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

石井 淳蔵
流通科学大学学長(商学博士)。
1975年、神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。
同志社大学商学部教授、神戸大学大学院経営学研究科教授を経て、2008年より現職。専攻は、マーケティング論、流通システム論。著書に、『マーケティングの神話』(岩波現代文庫)、『ブランド 価値の創造』(岩波新書)、『商人社会と市場社会』(有斐閣)、『ビジネス・インサイト 創造の知とは何か』(岩波新書)、『寄り添う力 マーケティングをプラグマティズムの視点から』(碩学舎)などがある。

廣田 章光
近畿大学経営学部教授(商学博士)。
1999年、神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。アシックス、大阪国際大学教授を経て、2008年より現職。専攻は、製品開発論、イノベーション・マネジメント論。著書に、『1からの商品企画』(碩学舎)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    マーケティング発想の経営とは、「作った製品を売るのではなく、売れる製品を作る」ということから始まる。
  • 要点
    2
    どのセグメントの消費者をターゲットとするのかを設定し、その上で自社製品を位置づけるポジショニングをする活動(STP)が、マーケティング活動の第一歩だ。
  • 要点
    3
    マーケティング活動を支えるのは製品政策、プロモーション政策、流通政策、価格政策(頭文字をとって4Pという)、そして、営業やブランディング、顧客との長期的な関係など、さまざまなものがある。これらを一つの方向に統合的に考えることが、マーケティング戦略の成功につながる。

要約

マーケティング発想の経営

売れる製品を作る
enotmaks/iStock/Thinkstock

われわれが現在暮らしている成熟した社会では、良いものを作ったからといって、それが必ずしも売れるわけではない。

提供する製品を欲しがっている人は誰なのか、その人はその製品からどのような価値を得ているのか、ものを売るためにはそれらを知ることが大切だ。「作った製品を売るのではなく、売れる製品を作る」。マーケティング発想(=消費者志向)の経営とは、そこから始まる。

消費者のニーズを知るといっても、経営者は近視眼的な理解に陥らないように注意を払うべきである。自分自身が何の事業をやっているのかと考えるとき、製品そのものでなく、その製品が果たす機能や、消費者がその製品によって解決しようとしている目的を考えなければいけない。たとえば、鉄道会社の事業は輸送であり、映画製作会社の事業は娯楽提供という風に。

また、製品の価値と性能は別物であることも忘れてはならない。消費者が欲しているのは、あくまで価値(=その製品に対して本当に期待すること)の方だ。ハーレーダビッドソンが小さくて軽くなって性能が高まったとしても、ハーレーファンは「それはハーレーではない」と言うに違いない。

マーケティング論のなりたち

20世紀初頭、企業にとって製品を作ると同時に、それをいかに売るのかが重要な問題となった。企業が巨大化し、多く製品が作れるようになったぶん、それに見合う顧客を獲得せねばならなくなったが、従来からの手法では対応できず、新しい対応が模索されたのだ。

マーケティングとは、「市場で売る」を意味する「Market」という動詞を、動名詞化した言葉だそうだ。市場のニーズに適応したり、市場に働きかけたりと、売買を含めて市場とのやり取り――コミュニケーションをすること、そしてそのために必要な仕組みをつくることが、マーケティングの扱う世界である。

マーケティング論の中核をなすのは、「マーケティング・マネジメント論」と呼ばれるものだ。基本的な考え方は、1つの製品を売るとき、製品、価格、プロモーション、流通の面からやるべきことを整理し、それらを統一的に組み合わせていくというものである。そのほかに、情報収集のための市場調査の方法について研究がなされている「マーケティング・リサーチ論」、流通の姿や流通業者の行動原理などを論じる「流通(システム)論」などがある。また、マーケティング・マネジメント論において、現代では「サプライチェーン」「営業」「ブランド」なども新しいテーマとして考える必要がある。実際には、これらすべては関連しあっており、1つの目標に向かう方向性のもとに、統合的に考えて戦略として策定する必要がある。

マーケティングの基本概念
MattZ90/iStock/Thinkstock

消費者志向といえども、消費者は一様ではない。まず、マーケティング活動のスタートとして、自社はどのセグメントをターゲットとするのかということを設定することが必要になる。セグメントが異なればそれぞれの消費者群に対して有効なマーケティング活動も違ってくるのだ。

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要約公開日 2014.09.30
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