全史×成功事例で読む「マーケティング」大全

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出版社
かんき出版
出版日
2014年09月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

マーケティングの歴史を記した「マーケティング発展史」と、企業の最新の取り組み事例を紹介する「マーケティング実務編」の2部構成で成り立つ本書は、読者がマーケティングの全体像を捉え、個々の理論を体系的に学ぶことができるよう工夫が施された、いわばマーケティング入門書の決定版である。

第1部「マーケティング発展史」においては、各理論が年代別に整理され、前後のつながりが図解されているため、マーケティングにあまり馴染みのない方にとっても理解しやすい内容となっている。まずは本書を活用して多様なマーケティング理論を俯瞰的に捉え、その後でより詳しく学びたい分野については別途専門書を紐解く、といった活用方法がおすすめだ。

続く第2部「マーケティング実務編」では、実務家向けの具体例が数多く紹介されている。様々なビジネスシーンにおいて試行錯誤の中編み出された「先人の知恵」に触れることで、読み手は自ずと「自社に最適なマーケティング戦略や手法とは何だろうか?」と考えさせられるに違いない。第2部の事例は第1部のテーマにリンクしているため、理論の習得が進む手助けになるだろう。

マーケティングの理論を理解するための事典としても、実務に応用できる参考書としても、大いにお薦めしたい。

著者

酒井 光雄
ブレインゲイト(株)代表取締役。1953年生まれ。学習院大学法学部卒業。企業のマーケティング戦略、ブランド戦略の第一人者。常に生活者を意識した独自の「価値づくり」を事業戦略にまで高め、価格ではなく「価値」で競える企業づくり、愛される商品づくり、企業ブランド価値の形成と向上、顧客との強固な信頼関係づくり、既存事業の深みある拡大など、「確実に事業を成長させていく戦略」を展開する。自動車関連、飲料、食品、ビール、アパレル、情報機器、化粧品、医薬品、宝飾品、住宅・不動産、人材、生活関連など100余社の著名企業のコンサルティングを行う。

武田 雅之
ブレインゲイト(株)取締役パートナー。1973年生まれ。96年関西学院大学経済学部卒業後、外資系の食品会社、飲料会社を経てブレインゲイト入社。マーケティング、事業、企業ブランドの戦略策定に参画。2003年青山学院大学大学院(MBA)卒業。09年コペンハーゲンビジネススクール(MBA)卒業。特に消費財業界に強く、現場に精通した経験を活かしてコンサルティングに従事する。企業の人材育成にも取り組み、戦略実行に向けた活動を支援。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間ではなくロボットが掃除する掃除機「ルンバ」のように、市場が成熟し、製品のライフサイクルが衰退期にさしかかったとしても、製品の新しい使い方を提案することでイノベーションを起こすことができる。
  • 要点
    2
    製造業は関連するサービスへと事業を拡張し、サービス業はそのブランドを活かした有形化に取り組むなど、企業はモノとサービスを分けて考えるのではなく、「価値づくり」という概念を持つことで飛躍できる。
  • 要点
    3
    インターネットやSNSの普及によって、生活者に役立つ情報を提供して無理強いすることなく商品を購入してもらったり、生活者の意見を商品に生かすことでその商品を応援してもらったりする新たなマーケティング手法が出現した。

要約

マーケティング発展史

MattZ90/iStock/Thinkstock
マーケティング・フレームワークの誕生と進化

マーケティングの概念の誕生は、今から100年以上前にさかのぼる。交通と通信が発達した19世紀末の米国において、大量生産された製品を売る為に、販売網の拡大や整備、といった「マーケティング」が生まれた。20世紀に入るとマーケティングは研究対象となり、論文や大学の講座という形で登場し、様々なマーケティングの基本概念が次々と出現するようになる。例を挙げれば次のようなものだ。

製品・技術にはその寿命(ライフサイクル)として、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つの段階があるとする「製品ライフサイクル」。

参入しようとする市場がどのような競争環境にあり、どの企業がどれだけの力を持っているかを判断する材料となる「マーケットシェア(市場占有率)」及び「7つの市場シェア目標値」。

市場を細分化(セグメンテーション)し、市場を特定(ターゲティング)して、特定した市場に対して競争優位性を確立(ポジショニング)するという一連の流れを指す「STP」。

製品づくりから価格の設定、販売方法、販売促進策、とった多様な要素を組み合わせ、相乗効果をあげる「マーケティング・ミックス」。

「マーケティング・ミックス」を考える際のフレームワークとなる「製品(Product)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」「価格(Price)」というマーケティングにおける4つの分類である「4P」。

このように、マーケティングはビジネスの現場で生まれ、次第に多様な概念や理論を包含するようになっていった。

マーケティングの高度化と適用範囲の拡大

マーケティングは当初、企業がモノを売る為の「利益追求型概念」から始まった。しかし、次第に強引な販促手法や環境破壊などの問題が発生し、企業側の論理だけで製品を売ることには限界があることに気づく人が増え、1971年には社会との関わりを重視する「ソーシャル・マーケティング」の考え方が示された。それまでのモノを売るためのマーケティングから転換し、顧客視点や社会性・公共性までを視野に入れたマーケティングのことを「マーケティング2・0」と称する。

こうしてマーケティングの適用範囲はどんどん広がっていく。「グローバル・マーケティング」とは、技術の進化と市場のグローバル化が加速するなかで、人々の多様な嗜好が収束し、規模の経済によってコストや価格の低減につながる市場が生まれる、という考え方のことだ。また、それまで消費財と耐久消費財の市場を中心に進化してきたマーケティングの概念は、生産財市場においても活用されるようになった。

他にも、地球上に40~50億人いるという貧困層を顧客として捉える「BOP(Bottom of the Pyramid)マーケティング」や、社会貢献性のある目的に関連付けたプロモーション(購入者がある企業の商品を購入すると、その企業が慈善団体などに寄付するなど)である「コーズ・リレーテッド・マーケティング」など、マーケティングの概念は時代に合わせて変化している。

市場と製品がコモディティ化する成熟市場での取り組み

naotake/iStock/Thinkstock
マーケティングにおけるイノベーション

先進国では、大部分の市場が成熟し、製品のライフサイクルが衰退期にさしかかっている。市場活性化が必要な市場と製品・サービスを抱えている場合、企業はどのような取り組み(イノベーション)が必要であろうか。

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要約公開日 2014.11.21
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