プレゼンの語彙力

おもしろいほど聞いてもらえる「言い回し」大全
未読
プレゼンの語彙力
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おもしろいほど聞いてもらえる「言い回し」大全
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プレゼンの語彙力
出版社
出版日
2019年02月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「プレゼンなら任せて!」そんな頼もしいことを言える人は、どれだけいるのだろう。

私はそんなことは言えないので、プレゼンの説得力が高まる語彙集があると言われたら、是非とも教えて欲しいと思ってしまう。本書の著者、下地寛也氏自身も、入社当時は顧客対応が下手で、上司に怒られっぱなしの毎日だったそうで、失礼だが親近感を感じて読んでみたくなった。

本書では、全部で100もの項目にわたってプレゼンのフレーズが紹介されている。各項目には、ひとことのフレーズがどのような効果をもたらすかという解説が丁寧に書かれており、コミカルで親しみやすいイラストが付されているので、たいへん読みやすい。ひとつひとつは当たり前に理解しているようなことでも、実際に言うか言わないかは確実にプレゼンの出来に関わってくるだろうと感じられた。

たとえば、「感謝を忘れない人柄を示す」という項目では、「感謝の気持ちを恩返ししたいです」というように、気持ちを言葉で表すことで、信頼できる人柄であることを聞き手にアピールし、結果的に良い反応を得やすくなるということが解説されている。聞き手はプレゼンターのことをよく知らない場合が多いので、発する言葉がそのままプレゼンターの印象となり、信頼度に結びつくはずだ。ならば確かに、ポジティブな気持ちはできるだけ言葉にして聞き手に伝えた方がいいだろう。

本書で紹介されているフレーズを実際に口に出して使えるようになれば、冒頭のような言葉も言えるようになるかもしれない。

著者

下地 寛也(しもじ かんや)
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。
1969年神戸市生まれ。もともと人と関わることが苦手で、個人業務が多いと考えデザイナー志望でコクヨに入社。オフィス設計者になるが顧客対応が下手すぎて上司や営業に怒られる日々が続く。常に辞めたいと思いながら働いていたが、5年後コクヨがフリーアドレスを導入したことをきっかけに「働き方とオフィスのあり方」を提案する業務に従事し、ワークスタイルを調査、研究する面白さに取りつかれる。
以来、顧客向けサービス企画、組織改革の推進などを数多く手がけ、2008年から〔コクヨの研修〕スキルパークを主宰。未来の働き方を研究するワークスタイル研究所の所長、ファニチャー事業部の企画・販促・提案を統括する提案マーケティング部の部長などを経て、現在は経営管理本部にて、コクヨグループの働き方改革や風土改革に取り組んでいる。
著書に『コクヨの1分間プレゼンテーション』(KADOKAWA)、『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    魅力的なプレゼンは、ちょっとした言い回しによって生まれる。
  • 要点
    2
    「グーグルを一緒にやっつけましょう」と目指しているものを具体的に示したり、最初に堂々と結論を言ったりすることで、自信を伝えられる。
  • 要点
    3
    プレゼンの最後に話のポイントをまとめて理解を促すことや、一方しか選びようがない選択肢を提示することで、聞き手は決断に踏み出しやすくなる。

要約

「自信を示す」言い回し

壮大な敵をライバル視する

「このサービスを世界一に育てましょう」ではなく、「グーグルを一緒にやっつけましょう!」と言ってみよう。

プレゼンにおいて、自分が目指しているものを具体的に示すことは重要だ。たとえば仮想敵(ライバル)を決めるという方法がある。ライバルのスケールは壮大であればあるほど、聞き手は「この人はスゴイ!」と思うので、本当にそのライバルを倒すことができるかどうかは別として、人気があって大きな会社や人を選ぶと良い。

「世界一のサービスを目指します!」という言い方もあるが、それでは聞き手は漠然としたイメージしか持てない。だから、具体的なライバルを示して、聞き手に話のスケールをはっきりと伝えることが大切なのだ。

時間配分を示す
Happy_vector/gettyimages

「少し長くなりますが説明させていただきます」と言うよりも、具体的に「私の説明が20分、その後質疑時間が10分あります」と時間配分を伝える方が、聞き手に安心感を与えられる。聞き手にもし「ダラダラしたプレゼンになるかもしれない」という予感が生まれてしまったら、プレゼン内容よりも寝ないようにすることに注力されてしまうので、あらかじめ時間配分を示しておくのだ。

説明が長い場合は、内容を3つ程度に分けて、プレゼンの旅の道しるべとして時間配分を伝えるとよい。「問題提起に5分、解決策の説明に5分、具体的なプロジェクトの説明に10分ほど」といった具合だ。

さらに、プレゼン内容に加えて「質疑時間も10分取っています」などと伝えれば、「どんな質問にも答えられるように準備しているんだな」という印象を与えられる。

結論をはじめに言う

「結論から言うと企画は中止にすべきです」というように、聞き手がプレゼンで一番知りたい「結論」を、話の冒頭にズバッと言ってしまおう。

起承転結という話の組み立て方は小説などに適したものなので、ビジネスの場においてその順番で話す必要はない。むしろ冒頭に結論をもってくることで、話をわかりやすくできる。

結論を最初に言うと反論されそうで少し恐い、と普通の人は思うかもしれない。けれど、自信のある人は、多少不審に思われたとしても、その後に筋道の通った理由や根拠を示して相手を説得する。

「興味を引く」言い回し

しぶしぶお伝えする風で話す

「コツを説明しましょう」というふうに切り出しがちな、ちょっとしたポイントについて、「本当はお伝えしたくないのですが、コツがあります」というふうに言い換えてみよう。同様に、「こうすると売れる」「こうすると勝てる」といった他者と差をつけるための情報を出すときに、「本当はお伝えしたくないのですが……」と加えてみよう。すると、聞き手は聞き逃さないように耳をそば立てるだろう。

プロは重要なコツなどを簡単には教えない。そのため、しぶしぶ伝える素振りを見せると、「その情報の価値が高い」という印象を与えることができる。あまり知られておらず、できるだけ簡単なコツをしぶりながら伝えてみるといい。そうすれば、多くの聞き手が「マネしてみよう!」と思ってくれるだろう。

成功者の共通点をあげる

世の中にある成功ストーリーには、それが特殊な事例だと思えてしまうものがある。聞き手が知りたいのは特殊な成功事例ではない。知りたいのは、

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要約公開日 2019.06.28
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