仕事において成果が問われるコミュニケーションでは、次の3つの原則を意識する必要がある。
1.コミュニケーションには目的がある
2.コミュニケーションは受け手が出発点である
3.コミュニケーションにはコストがかかる
上司が部下を問いただすシーンには共通して、上記3つのどれかが欠けているため生じるのだ。ここではこの3つの原則についてそれぞれ詳しく見ていく。
まずコミュニケーションの目的についてであるが、ここには大きく3つのポイントがある。
1つ目のポイントは、そのコミュニケーションが何を目指しているのか、「ゴール」を意識する必要があるということだ。ゴールには様々なレイヤーが存在するが、会社にとっての最上位の目的は顧客に価値を提供した結果、収益をあげることだ。その会社で働く個々人が、自分なりに会社の目的を理解して、それに沿って自分で判断し行動することが肝要である。それぞれのコミュニケーションは顧客への価値提供に繋がっていなければならないのだ。
2つ目のポイントは、表現だけではなく、中身も重要であるということだ。著者の経験から言うと、外国人投資家とコミュニケーションを取る際、発音や語彙が不十分であっても、話の中身に価値があればしっかりと聞いてもらえるのだという。仕事では、成果につながる話(中身)を、相手が理解できるように伝えられる人が評価されるのだ。
3つ目のポイントは、言わなくてもよいことは言わないということだ。思ったことを言葉で伝えることは大切だが、何でもかんでも言えばいいというものではない。言わなくてもいいことを言ってしまうのを回避するためには、「弱みではなく、強みに目を向ける」ということを心がければよい。弱みについて語るのは、もっとお互いの信頼関係ができてからにするべきである。
以上がコミュニケーションの目的に関わる3つのポイントである。
「マネジメントの父」として知られるドラッカーはコミュニケーションについて、①受け手が知覚しなければコミュニケーションは成立しない、②受け手は自分が期待することを受けとる、③コミュニケーションは受け手に負担を求める、④コミュニケーションは情報とは違う、という4つ特徴を挙げている。ドラッカーもコミュニケーションは受け手を出発点に考える重要性を指摘しているのだ。
本書で著者は、受け手を出発点に考えるときのコミュニケーションのポイントを3つに分けて解説している。
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