eスポーツとは「Electronic Sports」の略称で、ゲームを用いて特定のルールのもとに対戦し、勝敗を競うものだ。広い意味ではビデオゲームを使って行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す。
日本では家庭用ゲームが普及したため、ゲームは「家の中で、少人数で」という遊び方が一般的だった。一方で海外では、1990年代から「テトリス」などの人気ゲームの競技会がアメリカ各都市で行われるなど、開かれた環境で発展してきた。現在アメリカではすでにeスポーツが産業として成立しており、eスポーツで活躍するプレイヤーである「プロゲーマー」は「スポーツ選手」として広く認められている。
eスポーツは定義が定まっていない部分もあり、競技人口の正確なデータはないが、世界のeスポーツの市場規模は2016年に493億円、2018年には906億円に達しており、2021年には1650億円にまでのぼると考えられている。
また従来は主流だったパッケージゲーム市場をデジタル配信ゲーム市場が逆転するなど、ゲーム業界は大きな変化を見せている。
eスポーツにはさまざまな種類があるが、そのジャンルは大きく6つに分けられる。
(1)マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)は、複数人のチームで戦い、味方と協力しながら敵の本拠地を破壊して勝利を目指すものだ。ゴールとなる「敵陣地の破壊」を目指し、メンバーの配置や攻撃と防御など、戦略的要素が重要になる。
(2)ファーストパーソンシューティング(FPS)はシューティングゲームとアクションゲームが複合されたゲームだ。主人公の一人称視点でゲームが進み、敵と戦ってクリアを目指す。
(3)スポーツゲーム(SPG)はその名の通りスポーツを題材としたゲームだ。サッカーやバスケットボール、アメリカンフットボールなどが人気である。
(4)コレクタブル・カードゲーム(CCG)は、日本ではトレーディングカードゲームと呼ばれる。対戦形式のデジタルカードゲームだ。
(5)格闘ゲーム、いわゆる「格ゲー」は日本人にはなじみ深いだろう。キャラクター同士の対戦ゲームを指す。
(6)スマホゲームアプリは近年急速に増えている。日本では「モンスターストライク」と「パズドラ」のみプロゲーマーとしてのライセンス認定がなされている。
現在世界で最も参加人口の多いゲームは、MOBAの「リーグ・オブ・レジェンド」である。
eスポーツとして認められているゲームとそうでないゲームには、どのような違いがあるのか。
2018年に設立された一般社団法人eスポーツ連合(JeSU)が掲げている「eスポーツ公認条件」は次のとおりだ。
(1)ゲーム内容に競技性が含まれること
(2)ゲームとして3カ月以上の運営・販売実績があること
(3)今後もeスポーツとして大会を運営する予定があること
(4)eスポーツとしての大会の興行性が認められること
つまり競技性、稼働実績、大会の継続、興行性の4つが条件である。この条件は敷居が低いため、今後も多くのゲームがeスポーツ公認ゲームとして世に出るだろう。
「座ったままパソコンを操作して遊ぶゲームがスポーツか?」という議論は絶えない。日本国内ではeスポーツを「スポーツ」とすることについて、否定的な立場の人が多い。その理由として、野球のグローブやミットのように共通した道具を使用していないこと、各eスポーツのコンテンツによってルールや内容が異なることなどが挙げられる。
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