池上彰氏が定義する教養とは、次の3つの能力を指す。
①与えられた前提を疑い、正解のない現実社会の問題と答えを探る能力
②新しいルールを創造する能力
③自然環境の変化に対応する能力
教養は、即効性はないものの、発想を豊かにし未知のものを生み出す力になる。スティーブ・ジョブズはカリグラフィー(ペンによる西洋書道)という教養学問に傾倒したからこそ、洗練されたアップルのデザインを生み出すことができた。
日本企業が画期的な商品やサービスを創造できなくなっているのは、すぐに役立つ知識が重用され、教養が軽視されているからではないだろうか? 教養を学ぶことは、歴史や哲学、生物学など様々な知の体系を学ぶことで、人間や世界の理を知ることである。根源的な知恵だからこそ、本質的な課題解決や新しい創造において「実用的」なのである。
教養は学生だけでなくビジネスパーソンにとっても重要なものである。教養を学ぶための最初のステップは何か? 池上氏は次の3つを勧めている。
①複眼的思考を身につけるために、自分の専門分野から関係のない学問を学ぶこと
②本を手当たり次第に読むこと
③人間の行為の普遍性を知るために、歴史を学ぶこと
教養は、何かの分野に時間をかけて熱中する体験によって培われていくものである。
専門思考の理工系大学である東工大に、教養を専門に教えるリベラルアーツセンターができた理由は何なのか?
1つ目の理由は、自ら枠組みを設定し、現実的な解を探し出す「新しい教養」が理系学生にこそ重要だという認識が広がったためである。
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