「最近の若者は怒られ慣れて育っていないので打たれ弱い」と言われて久しいが、幼少期から学生を経て社会人になり、働いていく過程において、怒られなかったという時期は全くないのではないか。怒られることはイヤだが、怒られることからは逃げられない。だとすれば、逃げるよりも、どうやって付き合っていくかを考えた方が良い。
そこで本書の著者である桂福丸氏は「怒られ力」を身に付けることを提唱している。「怒られ力」とは、怒られることと上手につきあう力のことを指す。そればかりか怒られたことを糧にして自らの成長に変えることができる力である。そうすれば「あぁ、今日も怒られる」という辛い思いではなく、「怒られてよかった」と感謝することができるだろう。すぐに身に付いて効果を発揮するようなものではないが、地道に実践することで確実に自らを成長させることができるはずだ。
誰しも怒られるのはイヤなものだが、突如としてやってくる「怒り」をどうやって受け止めればよいのだろうか。
嫌われるのが怖い、みんなから好かれたいという思いが強く、自分をさらけ出すのが下手だという桂福丸氏は、よく「もっと自分を出せ!」と怒られるそうだ。そうするとまず、心の中にはイラッとして反論が浮かんでくる。「自分を出せというけれど、できるならもうやってるわい」だとか、他にも相手の言うことを否定するような言葉がたくさん出てくるだろう。
しばらく経って自分の中のイライラが収まってくると、今度は落ち込みがやってくる。「ああ、たしかに自分が出せてないなぁ。それで人間関係の距離が上手く取れないのかもしれない」といった自分を否定するような言葉が次々と出てくるのだ。
この状態が1日~数週間続いてからやっと、「自分を出すためには何をしたらいいだろう」と、前向きなことを考えられるようになる。
怒られ力を身につけられるかどうかは、この後が肝心だ。時間に心を癒され、イヤな事を忘れてしまうのではなく、この体験を生かそうと思うことが大事なのである。落ち込まされて、そのまま終わってしまったらそれこそ怒られ損。イヤな思いをしたし、何とかこれを身につけてやろう、生かしてやろうと思うことで、怒られ力の第一段階をクリアーすることができる。
心をほぐす手段の一つは、怒られたあとのショックからいち早く立ち直ることだ。そのためには自分を客観的に面白く見てみてはどうだろうか。
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