クリエイティブ・マインドセット

想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
未読
クリエイティブ・マインドセット
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想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
未読
クリエイティブ・マインドセット
出版社
日経BP
出版日
2014年06月24日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「あなたはクリエイティブですか?」と聞かれて、「そうだ」と答える人はほとんどいない。特に日本人の多くはそもそも自分には創造力など無いと思っているようだ。

しかし、本書の著者であるデイヴィッド・ケリーとトム・ケリーの兄弟は「どんな人でも自分の中に創造力を秘めている」と断言する。必要なのは生まれ持った才能ではなく、「デザイン思考」と「創造力に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)」だ。つまり思考法と自信さえあれば誰でもクリエイティブになれる。

「デザイン思考」というとクリエイターやデザイナー向けの本なのかと思われるかもしれないが、実はそうではない。本書には「自分は平凡だ」と思っていたビジネスパーソンや研究者が、デザイン思考によって課題を克服し、成功によって自信を獲得した事例が多数紹介されている。創造性はビジネスにおける武器なのだ。

アップルなど名だたるグローバル企業の成長を支えてきたデザイン会社の「IDEO(アイディオ)」、そしてデザイン思考を実践するスタンフォード大学の「dスクール」を創設した著者らによるトレーニングやアドバイスは、「私もちょっとやってみようかな」という気分にさせてくれる。

他の国からは世界一クリエイティブな国だと思われているにもかかわらず、日本人の多くは自分たちに自信を持てず、創造力を十分に発揮できずにいる。ぜひ本書を手に取って、自信と創造力を養い、成功をおさめていただきたい。

ライター画像
苅田明史

著者

デイヴィッド・ケリー
世界的なイノベーションとデザインのコンサルティング会社である「IDEO」の創設者。アップルの初代マウスをはじめ、数々のヒット商品を生み出し、人間中心のデザイン手法やイノベーション文化を組織に広める後押しを行う。スタンフォード大学教授で、「デザイン思考」の実践を学ぶスタンフォード大学内のプログラム「dスクール」を創設。誰もが内に秘めている潜在的な創造力を開花させる手助けをライフワークとしている。こうしたデザイン分野での教育の貢献によって、サー・ミシャ・ブラック賞など多くの賞を受賞している。

トム・ケリー
共同経営者として兄のデイヴィッドとともに、IDEOをわずか15人のデザイナー集団から従業員600人の会社へと成長させる。広報やマーケティングの面でリーダーシップを発揮し、ベストセラーとなった『発想する会社!』『イノベーションの達人!』を上梓。イノベーション文化を築き、組織の潜在的な創造力を引き出す方法について世界30カ国以上で講演する。UCバークレーのハース・ビジネススクールと東京大学の「iスクール」でエグゼクティブ・フェローを務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間は誰でも無限の創造性を秘めているが、アイデアを実行に移す勇気を奮い起こさなければ、創造性の真の価値は発揮されない。創造性と「創造性に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)」があれば、問題解決のための新しいアプローチや解決策を生み出すことができる。
  • 要点
    2
    クリエイティブ・コンフィデンスを持つ人は、自分が当事者になって「何かやってみる」という考え方をしている。彼らは計画ではなく行動を起こし、現場から学び、失敗を重ねるなかで改良を行う。
  • 要点
    3
    クリエイティブな力を伸ばす方法の一つが「エンド・ユーザーに共感する」ということだ。現場におもむき、人々が製品やサービスを利用する様子をリアルタイムで観察し、相手のニーズや状況を深く理解することで、よりイノベーティブなアイデアを思いつくことができる。

要約

【必読ポイント!】 デザイン思考で生まれ変わる

創造性に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)
chatchaisurakram/iStock/Thinkstock

「デザイン思考」を提唱する世界最高のデザイン会社「IDEO(アイディオ)」。その創設者であり、本書の著者であるデイヴィッド・ケリーとトム・ケリーの兄弟は「人間はみんなクリエイティブだ」という信念を持っている。創造性は一握りの幸運な人々だけが持っているまれな才能などではなく、思考や行動の一部だ。それゆえに、人間は誰でも無限の創造性を秘めている。

また同時に、アイデアを実行に移す勇気を奮い起こさなければ、創造性の真の価値は発揮されない。そのためには、自分のしようと思っていることを実現できるという確信、すなわち「創造性に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)」が必要である。つまり、アイデアを思いつく能力と、アイデアを実行に移す勇気の組み合わせが重要なのだ。本書はこのクリエイティブ・コンフィデンスを築くことを目的として書かれたものである。

創造性は芸術的な分野だけでなく、幅広く普遍的な分野で活かすことができるものだ。そしてクリエイティブ・コンフィデンスがあれば、問題解決のための新しいアプローチや解決策を生み出すことができる。

本書ではクリエイティブ・コンフィデンスを手に入れた人々の物語と手法が紹介されている。

人間中心のデザイン
Fuse/Thinkstock

画期的なイノベーションを起こすには、3つの要因のバランスが取れていなくてはならない。

ひとつ目は「技術的要因」で、新技術は莫大な価値を生み出す可能性を秘めており、新しい会社や事業部門を成功させる土台にもなりうる。しかし、画期的な技術だけでは十分でない。

ふたつ目の重要な要素は、経済的な実現性である。技術が機能するだけでなく、経済的に実現可能な方法で生産・販売できなければならないからだ。

そして、イノベーション・プログラムを成功させるための3つ目の要素は、人間のニーズを深く理解することである。単に人々の行動を観察するだけではなく、その動機や根本的な考え方を理解しなければならない。

GEでヘルスケアの設計と開発を行うダグ・ディーツは、自分が開発した新型MRIスキャナーが最高の技術と事業的な実現性を兼ね備えていた。だがあるとき、この装置が幼い子どもには不安と恐怖を与えるものでしかなく、鎮静のために麻酔が必要である事実を知り、人間中心のデザインとイノベーションのアプローチを取り入れることを決意する。彼は託児所の幼い子どもを観察し、専門家から小児患者の経験を教わるなど、幼い子どもがMRIスキャナーについてどう思っているのか、どうすれば安心感を抱いてもらえるかを理解しようと努めた。

幼い患者に共感したダグは、MRIを子どもの冒険物語に変えることで、この課題を解決した。MRIの装置一式を海賊船や宇宙船などにデザインし直し、幼い患者が冒険物語を楽しめるようにMRIの操作担当者向けの台本を用意したのだ。子ども向けにMRIをデザインし直したおかげで、鎮静の必要な小児患者の数は劇的に減ったという。ダグは、ある患者の「ねえ、お母さん。明日もこれに乗れるの?」という言葉でクリエイティブ・コンフィデンスを獲得することができた。

デザイン主導のイノベーション

成功するイノベーション・プログラムは、デザイン主導のイノベーションの「着想」「統合」「アイデア創造/実験」「実現」という4つの段階的なアプローチを含んでいる。

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要約公開日 2014.07.25
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