新型コロナウイルスの問題が起きる前から、「2008年のリーマン・ショックを超える金融危機が迫っている」と警告していた。新型コロナはあくまできっかけに過ぎず、経済危機が訪れること自体は以前から見えていた。信じる人は少なく、世の中には楽観ムードが漂っていたが、この主張にはきちんと根拠がある。
思い返せば2008年にリーマン・ショックという深刻な金融危機が起きる前、米国ではサブプライム住宅ローンの問題が発生していた。それだけでなく、アイスランドなどの小国で金融・不動産のバブルが崩壊し、英国の中堅銀行が経営危機に陥るなど、多くの人は気にも留めないような「小さな兆し」がたくさんあった。
最近の世界経済でも、こういった「危機の予兆」が多く見られる。ドイツ最大の民間銀行であるドイツ銀行が経営危機に陥った。アルゼンチン経済はデフォルト状態と判定された。インドの銀行では不良債権比率が大きくなり、住宅金融会社の破綻処理が行われ、インドの経済成長に明らかなブレーキがかかっている。
短期的な場合を除いて機能しない無制限な金融緩和が、各国ではびこっているのも問題である。日本では、日本銀行が債券や上場投資信託(ETF)を積極的に購入することによって、低金利を維持している。同様の無制限な金融緩和は世界中で加速しており、借金のスノーボールはどんどん大きくなっている。だから、次に危機が起きた際の影響は、リーマン・ショックよりもひどいものになるだろう。
加えて、米中の間などで貿易戦争が起きていることも、悪い未来を予見させる。経済対立は、本物の戦争に発展する危険性もある。歴史を振り返ると、戦争の前には多くの政治家が外国人を非難するようになっていた。戦争が終わると、悲惨だったと言う人は現れる。しかし、戦争が始まった時点では誰もが戦争を愛する。歴史によって、多くの人が戦争を好むことは証明されている。プロパガンダとマスコミ、政治家はみな、戦争を称賛し、正当化する。「戦争の最初の犠牲者は真実だ」という指摘は正しい。
世界中ではすでにさまざまな問題が起きている。あらゆる場所に火種があったが、危機はすでに避けられないものになった。通常の不況で済む可能性もあったのに、大きな災害に変わってしまっている。
それでは、危機の際にはどのような行動をとればよいのだろうか。
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