本書は、自分にしか歩めない道を歩むことの大切さを説く、次のような文章からはじまる。「自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時もあれば、かきわけかきわけ汗する時もある」
また著者はこうも言う。「この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあるだろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか」
これはけっして、あきらめて運命を受け入れるということではない。自分だけに与えられた道を進み続けなさいということだ。休むことなく歩み続ければ道はひらける。「他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ、心を定め、懸命に歩まねばならぬ」のである。心を決めて歩みをつづけることで、自分に与えられた道をひらくのだ。
逆境について、著者は「その人に与えられた尊い試練であり、その境涯にきたえられてきた人はまことに強靭である」と語る。その一方で、「だが、これを尊ぶあまりに、これにとらわれ、逆境でなければ人間が完成しないと思いこむことは、一種の偏見ではなかろうか」と指摘する。逆境だけでなく順境もまた尊いものだ。大切なのは、どんな状況にあってもその運命を受け入れ、素直に生きることなのだ。
「素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ」――これが著者の主張である。逆境にとらわれたり順境にあまえたりすることは禁物である。
雨が降ったときは、傘をさせばいい。もし傘がなければ、風呂敷をかぶるなどして雨をしのぐ人もいるだろう。風呂敷さえも持っていなければ、雨にぬれるしかない。
雨の日の傘について、著者はこう言う。「雨の日に傘がないのは、天気のときに油断して、その用意をしなかったからだ」
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