種子学園は、教育への理想と大いなる願望を集めた新しい芸術総合体であり、台湾独自の教育実験校である。
種子学園は、小学校1年生から6年生までの子どもを受け入れている。台湾北部、台北県烏来(ウーライ)の娃娃谷(ワーワグゥ)にキャンパスがあり、台北市内からはバスで片道3時間半かかる。
学校は小さく、生徒の上限を60名に設定し、教師と生徒の比率は1:7に保っている。学年で分けることなく、子どもが担任の先生を自由に選ぶことができ、各科目でのクラス分けも子どもの学習程度と個性によって決まる。
種子学園では国語と数学以外は、すべての科目を選択履修としている。子どもたちは理科、体育、美術、音楽、演劇、生命科学、農芸、英語、地理・歴史、野外サバイバル、工作などからいくつでも自由に選択でき、あるいはまったく選択しなくても構わないこととした。
種子学園には「生活討論会」「法廷」という2つの法制組織が存在する。生活討論会は実務的な討論と決定を担うもので、大人も子どもも1票を投じる権利があり、十分な討論の後に採決される。法廷は規律の維持を担うもので、誰もが訴えを起こすことができるのだ。
種子学園の創立にあたって、著者らは「いかなる権威的なものも導入しない」と決めた。そして保護者、教師、子どもたちが協力して、台湾に最も適した教育モデルをつくりあげていった。
種子学園の子どもたちは皆「主体性」を持っている。学園の規則や環境の維持、クラス担任や受講科目に至るまで、自分たちで決定する。
しかし学園開設当初はそうではなく、午後のみが「自由選択科目」の時間であった。この時はまだ、大人は子どもが主体性を持って学習に取り組むことに懐疑的であったからである。
しかし1年が過ぎた頃、ある先生が全面的な選択履修方式の推進を提言した。その理由は、子どもたちの選択授業に取り組む姿勢が真剣であったこと、ルールもよく守られていたこと。一方、必修科目の授業では重大なルール違反があったそうだ。
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