SUPER BRAIN

脳に使われるな 脳を使いこなせ 最高の人生を あきらめない心のパワー
未読
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脳に使われるな 脳を使いこなせ 最高の人生を あきらめない心のパワー
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ジャンル
出版社
保育社
出版日
2014年05月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

アルツハイマー病という病気は、症例が増え続ける一方、有効な治療法や予防法が見出されていない難病だ。アルツハイマー病は患者とその周りの大切な人たちを苦しめる。最初は軽度の認知障害から始まるが、症状が重くなるにつれて日常生活を送ることすら困難にし、患者は言葉をだんだん思い出せなくなり、話すことも書くことも困難になっていく。病気の進行がはじまったら後戻りすることは少なく、古い記憶は消えていき、新しい記憶が作られなくなる。自分が病気であることがわからなくなるころには、つきっきりで介護にかからなくてはならない。

こうした状態を研究の現場から見てきた著者は、アルツハイマー病の研究の発展のために本書を書いたという。心と体のつながりについて、できる限り先を見通すために「今の自分をいかに変えるか」「いかに乗り越えていくか」というテーマで考察を試みた。

この本で紹介される内容は、計算や実験で検証されたハードサイエンスばかりではない。科学的にはまだ検証されきっていない、「脳よりも意識が先である」という立場に則って分析・考察がなされている。とはいえ、以前から科学理論の発展には、哲学や形而上学といったものが貢献してきた側面もある。本書でも科学者なりに意識、無意識、本能、悟り、老い、神の存在、幸福といったテーマについての仮説が述べられる。ビジネスパーソンにとってもサイエンティストにとっても有効な、脳をよりよく活かすための知恵を本書から読み取ってほしい。

著者

ディーパック・チョプラ
ニューヨークタイムズのベストセラー多数を含め、70冊を超える書籍を執筆。内科学、内分泌学を専門とし、米国内科医師会フェローや米国臨床内分泌学会(AACE)、アメリカ世論研究所を前身とするギャラップの研究主幹も務める。
ルドルフ・E・タンジ
ハーバードメディカルスクール教授(神経学)であり、マサチューセッツ総合病院にて加齢遺伝学ユニット長を務める。アルツハイマーの全遺伝情報プロジェクトの長として、初のアルツハイマー病遺伝子を単離後、いくつかのアルツハイマー病の遺伝情報を発見している。アルツハイマー関連の代表的な著書に、『痴呆の謎を解く:アルツハイマー病遺伝子の発見』(文一総合出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    脳についての生物学的な理解だけでは、精神や意識のことを説明できない。脳の持つ可能性を引き出すには物質的な側面にだけ見ていても不十分である。
  • 要点
    2
    脳を最大限活用した状態のことをスーパーブレインと呼ぶ。
  • 要点
    3
    脳と心はつながっており、フィードバックループがある。
  • 要点
    4
    自分の意識を通じて、(脳に使われるのではなく)脳を使うというスタンスを取ることが何よりも重要だ。
  • 要点
    5
    意識に働きかけることで、肥満や老い、不安や恐怖、うつといったことにも対処できる。

要約

心と脳を結びつけるスーパーブレインという捉え方

Fuse/Thinkstock
心と脳はつながりを持っており、人間の意識によって脳の可能性を最大限引き出すことができる

私たちは人間の脳について、どこまで「本当に知っている」のだろうか。脳は約千億個の神経細胞(ニューロン)で構成され、その細胞同士は一兆とも千兆とも言われる数のシナプスで結ばれている。この様子は絶えず変化しており、取り巻く世界に応じて再構成がくり返されている。

ここで重大な問題がある。あなたの世界が、ただ一つあなたに合わせて作られたものであるなら、その創造力を影で発揮しているのは誰なのか?あなた、それとも、あなたの脳だろうか。もし「あなたの脳」であるならば、脳という装置の物理的機能から大きな制約を受けるだろう。

だが、人間は脳のリーダーであり、発明家であり、教師であり、使用者である。脳の言うことを聞くのではなく、リーダーとして自分の脳に発令する。発明家として、脳に新たな回路を産み出す。教師として新たな技能を習得できるように脳を鍛える立場にある。さらには使用者として、脳が正常に動く状態を保つことに責任を持つ。

このような意識を持つことで、脳の可能性をより引き出すことができる。このようにあなたがすべてを自覚し、脳のもてる力を最大限に活用している状態をスーパーブレインと呼ぶ。生物学は脳で観察された客観的な現実を説明するのに優れている。しかし、私たちの主観的な思考、感情、情緒、欲望、記憶について、その意味や目的を語るには不十分である。これらを理解するために心と脳の2つの世界を結びつける考え方がスーパーブレインなのだ。

【必読ポイント!】脳の力を引き出すうえで障害となる5つの通説

EdwardSamuelCornwall/iStock/Thinkstock
脳の力を抑えているのは、思い込みや誤解であり、それらを乗り越える方法を紹介する

これまでの脳との付き合い方を変え、未知の力を解き放つには新しい考え方が必要になる。脳に秘められた「現実を変える」力を抑制し、妨げてしまう5つの間違った通説について説明する。

1つめは「傷ついた脳が自然に治ることはない」というものだ。多くの科学者によって、神経可塑性、すなわち環境に応じて変化する力が、末梢神経系だけでなく中枢神経系にも備わっていることが確認されてきた。生きている間であれば脳は再構築されている。この性質はアルツハイマー病を理解し、治療するための希望となっている。

2つめは「脳の配線を変えることはできない」というものだ。しかし脳は損傷がおこったときでも、学習した記憶を保つことができるし、脳に傷害をうけ全身麻痺の状態からでも自然に目覚めることすら可能だ。

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要約公開日 2014.09.02
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