あなたは「モデリング」という仕事を知っているだろうか。
知らないという人も、映画『スター・ウォーズ』の名前は聞いたことがあるだろう。『スター・ウォーズ』にはたくさんの宇宙船が登場する。
昔は精巧な模型を実際に作っていたが、現在は3DCGで描写される。デザイン画を元にして、この3DCGを制作するのがモデリングという仕事だ。3DCGはコンピュータ内で基本的にすべての作業が完結するため、すべての部品をひとつひとつ自分で作っていかなくてはならない。
こうして作られた「モデル」は、別のアーティストたちに送られ、色や質感、動きが付けられていく。そして最終的には、映画の中で自在に動き回る。映画に登場する宇宙船は、たくさんのアーティストの手を経ることで、リアルな「実物」に仕上がった、共同作業の賜物だ。
著者はこのモデリングを担当するアーティストである。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場する、主人公たちが乗り込む宇宙船「ミレニアム・ファルコン」や、巨大戦艦「スター・デストロイヤー」などを手掛けている。
モデラーと聞くと、映画やアートにずっと関わってきたと思われるかもしれない。しかし、CGモデラーになることを決意したのは、45歳のときだ。それまでは証券会社のサラリーマンだった。
さまざまな幸運と人の縁、そして映画への憧れが、筆者をモデラーへと導いていくことになる。
著者は、子供の頃から映画とプラモデルを愛していた。宇宙に関わりたいとの思いから、大学を卒業後に人工衛星事業を手掛けていた電気メーカー、NECに就職する。
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