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リモートワーク時代の新しいマネージャーの思考法
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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2021年09月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書を一言で表現すると、「リモート環境をポジティブに捉え、自走するチームをつくりたいマネジャーのための一冊」だ。読者の中には、リモート・マネジメントに苦労されている方もいるだろう。オンラインのコミュニケーションに苦労している、メンバーの行動がみえず評価しづらい……コロナ禍において、こうした話をよく耳にするようになった。

著者は読者より一歩先行くリモート・マネジメント経験者だ。2010年にソフトバンクアカデミア事業プレゼンで1位を取ったことをきっかけに、ソフトバンク子会社の社外取締役や社内外の複数部門のマネジメントを担当し、離れた場所のメンバーをマネジメントする状況となった。

本書では、そんな著者が試行錯誤によって得た、リモート・マネジメントの教訓がちりばめられている。本書を読めば、リーダーとしての覚悟をもち、オンラインコミュニケーションの限界を認識したうえできめ細かな工夫をする必要があると理解できるだろう。

著者によると、メンバーが自走することのメリットは、リーダーとしての評価が高まることだけではない。リーダーのタスクが減り、その分、自由な発想を取り入れたり、社内外の人脈を構築するために時間を投資したりすることも可能となる。

あなたがこれまで培ってきた知識と、新たに得た知識を組み合わせれば、イノベーションが起こせるかもしれない。リモート・マネジメントに成功したマネジャーには、輝かしい未来が待っている――そんな期待を胸に、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

ライター画像
大島季子

著者

前田鎌利(まえだ かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学で書道を専攻(現在は、書家としても活動)。卒業後、携帯電話販売会社に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。その間、営業現場、管理部門、省庁と折衝する渉外部門、経営企画部門など、さまざまなセクションでマネージャーとして経験を積む。
2010年にソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認され、ソフトバンク子会社の社外取締役をはじめ、社内外の複数の事業のマネジメントを託される。それぞれのオフィスは別の場所にあったため、必然的にリモート・マネジメントを行わざるを得ない状況に立たされる。それまでの管理職としての経験を総動員して、リモート・マネジメントの技術を磨き上げ、さまざまな実績を残した。
2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、プレゼンテーションクリエイターとして活躍するとともに、『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』『最高品質の会議術』(以上、ダイヤモンド社)などを刊行。年間200社を超える企業においてプレゼン・会議術・中間管理職向けの研修やコンサルティングを実施している。
また、一般社団法人プレゼンテーション協会代表理事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、サイバー大学客員講師なども務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    メンバーとの信頼関係は管理職にとっての「インフラ」になる。進んで自己開示をしたり、自分自身の「念い」を発信してブレのない行動をしたりすることで、メンバーとの信頼関係が醸成されていく。
  • 要点
    2
    チームにとって「良い状態」とは、メンバー一人ひとりがチームワークを発揮しながら「自走」する状態のことだ。メンバーの自走力を引き出すには、1on1で相手の考えを引き出してモチベートしたり、メンバー自身の思考を深める問いかけを心がけたりするのが効果的である。

要約

管理職の職務はチームの「良い状態」を保つこと

自走するチームをつくる

管理職の職務は、目標達成を目指して、担当するチームを管理することだ。ここでいう「管理」とは、規準から外れないよう「監視」することではなく、良い状態を保とうとすることである。

「良い状態」とは、メンバー一人ひとりが目標達成に意欲的で、チームワークを発揮しながら「自走」する状態のことだ。そのような状態を実現するために、リーダーは強制や命令をするのではなく、それぞれの内面から生まれるモチベーションを最大限に発揮してもらえるように働きかける必要がある。

ただし、働きかけに応じてもらうためには、リーダーとメンバーの間に「信頼関係」が欠かせない。メンバーとの信頼関係は、リーダーにとってのインフラである。「この人なら、何でも相談できる」「この人は、自分の力になってくれる」と信頼しているリーダーに対しては、メンバーのほうから積極的にホウレンソウしてくれるものだ。特にリモートワーク環境下では、信頼関係がなければ、管理職としてまともに機能するのはむずかしい。

念いを言語化し、伝える
kokouu/gettyimages

では、どのようにメンバーと信頼関係を築けばよいのか。

まず「自分はメンバーを信頼する」と決めることだ。リーダーがメンバーを信頼していないと、メンバーはその不信感を敏感に察知する。

次に、リーダーとしての軸を明確にしておくことだ。なぜその会社で働いているか、なぜその仕事をするのか。その個人的な「念い(おもい)」と企業理念を重ね合わせて言語化し、メンバーに伝えることが、チームの求心力となる。

念いを伝えても、反発したり無関心だったりするメンバーがいるかもしれない。それでもあなた自身の言動を「念い」で律したり、何度も粘り強く伝えたりすることで、必ず「自分は企業理念に、どんな念いを重ねられるだろう」と考え始めるメンバーが出てくるものだ。これが、強いチームワークの素地となる。

日々の内観を習慣にする

マネジメントには正解がない。人間同士のやり取りである以上、どうしても問題は生じるものだ。だからこそ、特に問題がなく日々が平穏に過ぎていくときでも、自らを振り返り、自分の言動に微修正を加え続ける習慣をつけておこう。

著者も毎晩、自分、メンバー、チームのことを「内観」する時間を確保している。振り返りをし、常に修正と改善を重ねていくためだ。

マネジメントのインフラ、「信頼関係」を築く

積極的に自己開示する

理想のチームを実現するための第一歩となるのが、リーダーが各メンバーの考えや望みを知り、尊重し、具体的な行動で示すことだ。といっても、無理に相手の考えや望みを聞き出そうとしてはならない。まずはあなたから自己開示をする。そうすれば、相手も心を開いてくれやすくなるものだ。

リーダー自身のスタンスを、日常的な振る舞いやコミュニケーションで見せておくことも重要だ。たとえば著者は、自分のデスクの横に小さな椅子を置いて「いつでも話しかけていいよ」というメッセージを送っていた。実際にメンバーが来たときは手を止めて、相手の顔を見て穏やかな気持ちで話を聞く。

リモート環境では、

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要約公開日 2021.11.18
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