管理職の職務は、目標達成を目指して、担当するチームを管理することだ。ここでいう「管理」とは、規準から外れないよう「監視」することではなく、良い状態を保とうとすることである。
「良い状態」とは、メンバー一人ひとりが目標達成に意欲的で、チームワークを発揮しながら「自走」する状態のことだ。そのような状態を実現するために、リーダーは強制や命令をするのではなく、それぞれの内面から生まれるモチベーションを最大限に発揮してもらえるように働きかける必要がある。
ただし、働きかけに応じてもらうためには、リーダーとメンバーの間に「信頼関係」が欠かせない。メンバーとの信頼関係は、リーダーにとってのインフラである。「この人なら、何でも相談できる」「この人は、自分の力になってくれる」と信頼しているリーダーに対しては、メンバーのほうから積極的にホウレンソウしてくれるものだ。特にリモートワーク環境下では、信頼関係がなければ、管理職としてまともに機能するのはむずかしい。
では、どのようにメンバーと信頼関係を築けばよいのか。
まず「自分はメンバーを信頼する」と決めることだ。リーダーがメンバーを信頼していないと、メンバーはその不信感を敏感に察知する。
次に、リーダーとしての軸を明確にしておくことだ。なぜその会社で働いているか、なぜその仕事をするのか。その個人的な「念い(おもい)」と企業理念を重ね合わせて言語化し、メンバーに伝えることが、チームの求心力となる。
念いを伝えても、反発したり無関心だったりするメンバーがいるかもしれない。それでもあなた自身の言動を「念い」で律したり、何度も粘り強く伝えたりすることで、必ず「自分は企業理念に、どんな念いを重ねられるだろう」と考え始めるメンバーが出てくるものだ。これが、強いチームワークの素地となる。
マネジメントには正解がない。人間同士のやり取りである以上、どうしても問題は生じるものだ。だからこそ、特に問題がなく日々が平穏に過ぎていくときでも、自らを振り返り、自分の言動に微修正を加え続ける習慣をつけておこう。
著者も毎晩、自分、メンバー、チームのことを「内観」する時間を確保している。振り返りをし、常に修正と改善を重ねていくためだ。
理想のチームを実現するための第一歩となるのが、リーダーが各メンバーの考えや望みを知り、尊重し、具体的な行動で示すことだ。といっても、無理に相手の考えや望みを聞き出そうとしてはならない。まずはあなたから自己開示をする。そうすれば、相手も心を開いてくれやすくなるものだ。
リーダー自身のスタンスを、日常的な振る舞いやコミュニケーションで見せておくことも重要だ。たとえば著者は、自分のデスクの横に小さな椅子を置いて「いつでも話しかけていいよ」というメッセージを送っていた。実際にメンバーが来たときは手を止めて、相手の顔を見て穏やかな気持ちで話を聞く。
リモート環境では、
3,400冊以上の要約が楽しめる