あなたは、怒りをため込んでイライラを引きずり、何かの拍子に爆発させてしまった経験はないだろうか。もしくは、ため込んだ怒りがストレスとなり、心身の不調を感じたことがあるかもしれない。そうした状態は、「怒りをうまくコントロールできている」とはいえない。
怒りは人間が生まれつき持っている感情であるため、怒りを感じること自体に罪悪感を持つ必要はない。「怒らないこと」ではなく、「怒りと適切に付き合って、コントロール下におくこと」こそが重要なのだ。
怒りを抑え込むと、ストレスがたまるだけでなく、相手の主張をそのまま受け入れることにもなりかねない。黙って怒りに耐えていれば、理不尽な状況に追い込まれることもあるかもしれない。
大事なのは「上手に怒りを伝えること」である。感情的に怒りをぶつけるのではなく、うまくリクエストを伝える。そうすれば、状況は改善に向かうはずだ。
人は「腹が立つ人がいる」「あの出来事はイライラした」と、怒りの原因を自分の外に見出す傾向がある。しかし一方で、同じシチュエーションでも「怒る人」と「怒らない人」がいるのも事実だ。つまり、怒りの原因は自分の捉え方や考え方にあるため、自分でコントロールできるということだ。
自分は生まれつき怒りっぽいからとあきらめている人もいるかもしれないが、アンガーメネジメントは「技術」であり、後天的に身につけられるものだ。今日明日で完全にマスターすることはできなくても、繰り返し練習すればいい。
アンガーマネジメントを身につけるためには、(1)技術を学ぶ、(2)失敗を重ねながら練習を続ける、(3)さらに意識的に練習を続ける、(4)他のことをしながらでもできるようになる、という段階を経る。とにかく繰り返し練習しよう。
怒りとアレルギーは似ている。花粉に反応する人とそうでない人がいるように、ある出来事に遭遇したときの反応も人によって異なるものだ。
アレルギー症状を軽くするには体質改善が必要だとされているが、体質改善は時間がかかるうえ、効果が必ず出るとは限らない。だから薬を飲むなど、即効性のある対症療法を優先することがすすめられる。
アンガーマネジメントにおける対症療法とは「思わずカッときてしまったときに怒りを抑えること」であり、体質改善とは「ムダに怒らなくなる考え方を身につけること」である。ここでは対症療法として、「今」「この場」の怒りを鎮める方法を紹介する。
誰しも、イライラする出来事に遭遇することがある。そんなときに一番やってはいけないのは、反射的に怒りを表現することだ。自分も相手もヒートアップさせ、取り返しのつかない事態を招くことになりかねない。
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