本書を執筆するにあたって、著者である藤吉氏と小川氏は、話し方(会話術)の名著100冊を読み込み、それらに共通するノウハウを洗い出した。洗い出したノウハウを「掲載されていた本の冊数」によって順位付けし、冊数が多いほど重要度が高いとして、本書で「『話し方・伝え方』大事な順ランキングベスト40」を紹介している。
著者らによると、ランキングの1位から7位は、すべての人に必要な基本ルールだ。8位から20位は話がうまい人に共通するポイント、さらに21位から40位はコミュニケーション力をさらに高めるためのコツとされている。
要約ではそのうち、9個をピックアップして紹介していく。
話し方の名著100冊のうち、70冊が取り上げていたのが「相手(聞き手)を中心に会話をする」だ。具体的には、相手の話をよく聞くことと、相手の聞きたい話をすることである。
相手の気持ちを無視して自分の言いたいことを一方的に話していては、会話は成り立たない。伊藤羊一氏は『1分で話せ』において、「『自分が相手に伝えたい』という視点(『主観の自分』と呼びます)しか持っていないのであれば、その話を聞いている相手の気持ちが理解できず、相手に伝わらないということです」と述べている。
「聞き上手は話し上手」ということわざがあるように、話し上手な人は「話す」よりも「聞く」を大切にしている。なぜなら人は、「自分の話を聞いてくれる人」に好意を抱くものだからだ。話を聞くことで、相手の「重要な存在であると思われたい」という欲求を満たせる。
心理カウンセラーの五百田達成氏は『話し方で損する人 得する人』の中で「話を聞くだけで、誰からも好かれる」と述べている。自分ばかり話すのではなく、「話す」を2〜3割、「聞く」を7〜8割にすることを意識してみよう。
伝わる会話には「型」がある。型とは、話の組み立てや伝える順番のことだ。会話のプロである名著の著者の多くが「何を言うかと同じくらい、どの順番で話すかが大事である」「話す順番を変えると、伝わりやすさが変わる」と述べている。
会話のプロが推奨する型には「逆三角形型」と「PREP法」があり、いずれも「結論」を最初に述べるという点が共通している。結論とは「自分が一番伝えたいこと」「相手が一番知りたいこと」だ。結論を先に伝えれば、相手は話の目的・主題をわかった上で聞けるので、ストレスがない。
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