統計でウソをつく法
統計でウソをつく法
数式を使わない統計学入門
統計でウソをつく法
出版社
出版日
1968年07月24日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

世の中には統計があふれている。消費者の価値観が多様化し、従来のような「長年の勘」が通用しなくなった現在では、データをもとにした意思決定に注目が集まっている。ビジネスシーンで数字の提示を求められることが増えたと体感しているビジネスパーソンも多くいることだろう。そんななか、怪しい数字もそこかしこに見られる。

本書にはこんな例がある。アメリカの平均寿命が63歳だったころ、社会保障法の改正についての公聴会で「65歳を退職年齢として社会保障計画をたてるのはごまかしであり、ペテンだ」という意見が出たのだという。なぜなら、それより前にみんな死んでしまうからだ。この意見に、一瞬だまされそうにならなかっただろうか。実際のところ、平均寿命が63歳なのであれば、それより長生きしている人も大勢いるはずだ。大ざっぱに考えて、半数が63歳より長生きしていてもおかしくない。この意見は前提から間違っているのだ。

数字が出されると、その意見には説得力があるような気がしてしまう。提示された数字や図表にはどんな意味があるのか、それを理解していなければ、いとも簡単にだまされ、不確かな情報を信じてしまうことになる。本書が提示するのは、「だまされないために、だます方法を知る」ことだ。1968年刊行のため、扱っている例自体は古いものがある。それでもなお、現代にも通ずる統計の知識を与えてくれる良書である。

ライター画像
池田友美

著者

ダレル・ハフ(Darrell Huff)
1913年アイオワ州の生まれ。アイオワ州立大学で学士号、博士号を取る。社会心理学、統計学、心理テストなどを研究。一時「ルック」誌などの雑誌編集にたずさわったが、その後フリーランサーとして、「ハーパーズ」誌などに記事や短編小説を寄稿。ブルーバックス『確率の世界』は、本書の姉妹書で、面白い話で確率の考え方を解説している。1963年、National School Bell賞を受賞。2001年、惜しくも逝去された。

本書の要点

  • 要点
    1
    データを扱う上で欠かせない、統計的な手法や統計用語は、正しく理解して使わなければ、ナンセンスな結論を導き出してしまう。
  • 要点
    2
    統計理論が全面的に信頼して使えるのは、母集団からまったくのランダムで選ばれたサンプルだけだ。しかし、実際の調査ではサンプルにはかたよりがつきものであり、それによって結果も影響を受けてしまう。
  • 要点
    3
    少ないサンプル数での調査や、こじつけの数字を利用することで、「欲しい結果」を得ることができる。

要約

だまされないために、だます方法を知る

新聞記事のスペースで、犯罪発生率をはかれるか?

アイオワからカリフォルニアに引っ越してきたばかりの著者の義父は、「この辺は、ずいぶん犯罪が多いんだねえ」といった。義父がそう考えたのは、地元の犯罪も遠くアイオワの殺人事件も掲載する新聞に、カリフォルニアの犯罪が多く載っていたからだ。あるサンプルをもとに導き出されている以上、これはまがりなりにも「統計的」な結論である。もちろん、新聞記事のスペースの大きさで犯罪の発生率をはかれるとみなしているのだから、妥当性があるとはいえない。

実際のところ、こうした考え方は多くの統計数字にも見られる。統計的な手法や統計用語は、膨大なデータを記録する上で欠かせないものだ。しかし、正しく理解して使わなければ、結果はナンセンスな言葉遊びにすぎないものとなる。

この本は統計を使って人をだます方法についての入門書である。泥棒やサギ師の手くだを知っていることで、正直な人たちはだまされにくくなる。統計でだまされないためには、だますテクニックを知っておかなければならないのだ。

サンプルにゆがみはつきもの

卒業生は、本当にお金持ち?
Nuthawut Somsuk/gettyimages

雑誌「タイム」にこんな記述があった。「1924年度のエール大学卒業生の年間平均所得は2万5111ドルである」。こんなに所得が多いのならば、子供をエール大学に入学させておけば老後も安泰と考えてよいのだろうか。

この数字を疑いの目で見てみると、びっくりするほどくわしく、考えられないほどすっきりした数字であることに気づくはずだ。その上、これは卒業生たちが自分の所得として“知らせて”きた額をもとにしている。

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要約公開日 2022.04.17
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2022 ダレル・ハフ All Rights Reserved. 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はダレル・ハフ、株式会社フライヤーに帰属し、事前にダレル・ハフ、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料の活用、およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
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