2021年8月、マイクロソフト社を除いたGAFAと日本株全体の時価総額が逆転するという衝撃的なニュースが報じられた。ポイントは、これらのテックジャイアントが急成長したのはこの十数年の短い間であるという点だ。
特にその後の十数年を牽引するパラダイムが生まれたのが、アップル社が初代iPhoneを発表した2007年である。そこからTwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークが伸び、アマゾンのAWSの出現がグローバリゼーションと合わさることでWeb2.0の革命につながった。
GAFAMに共通するのは、デジタルやデータを活用したサービス・商品を提供している点、小売と広告の革新を行った点、そしてプラットフォーマーとして市場を支配している点だ。一方で、一部の巨大プラットフォーマーだけが利益の大部分を吸い上げるという構造によって貧富の格差が広がっている。
2007年に始まったWeb2.0は成熟化し、今や業界全体に閉塞感が生まれている。そこで生まれたのが新しいパラダイム「メタバース」と「Web3(Web3.0)」だ。2021年から22年にかけて、これらの言葉は世界的なバズワードになり、インターネットの世界が次のステップに移行する大きなムーブメントが生まれている。
メタバースとWeb3の行き着く重要なゴールは「バーチャルファーストな世界」である。それは映画「レディ・プレイヤー1」のVRワールド「オアシス」のような完全な仮想世界だ。その中で学校に行ったり仕事をしたりすることができ、NFT化された経済圏も存在する。これまではリアルが主でバーチャルが従だったが、いよいよバーチャルが主でリアルが従となる世界ができていく。
デバイスはスマホからVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、XR(複合現実)へと変わっていく。データはソーシャルからブロックチェーンへ、そしてデータの活用方法はクラウドからAIへと変化する。次の10年のパラダイムはXR(メタバース)、ブロックチェーン(Web3)、AIがカギを握るのだ。
そもそもメタバースとは、「超越した」という意味を持つ「メタ(Meta)」と、「世界」という意味を持つ「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語「Metaverse」である。著者はメタバースがVR、AR、MR、XR、ミラー・ワールドのリブランディングだと捉えている。
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