世の中では「論理思考」が必要とされる場面が多々ある。しかし、論理思考の学習は簡単ではない。論理思考を勉強した経験があっても、本番でうまく実践できないと感じている人も多いものだ。論理思考の指導では、明確に問いを定義すること、「なぜ」を繰り返して課題を深掘りすること、考えた内容を構造化することなどが指導される。しかし、これらを踏まえ類題や実際の仕事に取り組んでも、同様のミスを繰り返してしまうことが少なくない。
構造化ができないのは、構造化の必要性を認識していないからではない。多くの場合は、構造化に有用な視点を思いつく方法がわからないのだ。だから、有用性を学ぶのではなく、背景にある途中の思考内容を学習して理解する必要がある。
思考中にミスをしやすい箇所は多くの人に共通している。ミスの背景には、検討内容の偏りや見落としがあり、類題で同様のミスを繰り返すという傾向も共通だ。自力でミスに気づくには、客観的な視点から、自分の検討内容に偏り・見落としがないか検討する必要がある。「自分が客観的な視点を持てているか否かを判断するために、客観的な視点が必要」ということになり、自力でミスに気がつくのは容易ではない。
論理的思考は、「具体的な事実(ファクト)によって自分の意見の妥当性を補強できている」という条件を満たさなければならない。示したファクトが「具体的(深い)」で「多様(広い)」であるほど、より論理的といえる。
たとえば、「日本のフィットネスクラブは高すぎる」と言うだけでは個人的な感想にすぎない。日本の会費とアメリカの会費の平均を比べて根拠を示せば、論理的な意見に一歩近づくことができる。しかし、これだけではまだファクトを示す範囲が狭い。
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