東大ケーススタディ研究会 伝説の「論理思考」講座

ケース問題で「広い視野」「深い思考」をいっきに鍛える
未読
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2022年04月14日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「論理思考」の重要性を認識しているビジネスパーソンは多くとも、「使いこなせている」と言える人はどれだけいるだろうか。論理思考は難しい、学んではみたが実際の現場で使えない、実務でフレームワークを役立てられないと感じている方のほうが多いだろう。

本書は、論理思考につまずきを感じたときの最初の一歩に最適だ。著者は、長年外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして勤務した経験を持ち、大学生や新社会人を対象に論理思考の個別指導を行ってきた。その経験から得た「ミスを回避するための手法」を本書であますところなく紹介する。

論理思考にミスが生じるのは、問いの要求を正しく(見落としなく)理解できないため、検討内容の偏りや見落としが生じるからだ、と著者は指摘する。このミスは、ロジックツリーなどのフレームワークで情報を構造化する以前の問題だ。多くの人はこの段階でつまずいてしまう。

本書では、具体例(ケース問題)を通じて、論理思考による問題解決の流れと方法を解説する。論理思考の流れは図示されており、視覚的に理解しやすい。ミスの回避方法も具体的で、自分の問題に引きつけて考えることができるだろう。ありがちな回答にある偏りや見落としを見ていくと、自分も同じような罠にはまっているかもしれないと感じられる。

論理思考を身に付けるには、訓練を積むしかない。今度こそ論理思考をものにしたいと思ったら、ぜひ本書をお試しいただきたい。

ライター画像
中崎倫子

著者

白木湊(しらき みなと)
東大ケーススタディ研究会メンバー。
2011年、東京大学理学部卒業。2013年、東京大学大学院理学系研究科修了。
同年より外資系コンサルティングファームで経営コンサルタントとして勤務、 マネージャーとしてさまざまな企業のコンサルティングに従事する。 2021年より日系コンサルティングファームのマネージャー。
大学院修了以来、大学生や新社会人を対象に 「論理思考」に関する個別指導を続ける。 直近4年間では、継続的な指導を受けた学生の受講者の73%が、 外資の戦略系ファームから経営コンサルタントとしてオファーを得ている(国内系の戦略系ファームも含めると82%)。 論理思考に関するWebコラムも多数執筆。

本書の要点

  • 要点
    1
    思考中のミスの背景には「検討内容の偏りや見落とし」がある。これに気づくには客観的な視点が必要とされ、自力で気づくのは難しい。
  • 要点
    2
    問いの要求を正しく(見落としなく)理解できず、問いや質問への回答になっていないことも多い。客観的な思考に慣れるまでは「問いを因数分解」する手法が有効だ。
  • 要点
    3
    問題解決の全体の流れは「結論仮説決め」「情報収集・分析」「伝える」だ。本書では「結論仮説決め」を「現状を把握する」「課題を特定する」「打ち手を考案する」の3つに分け、ミスを回避する工夫を解説する。

要約

論理思考の「前提条件」

なぜ論理思考は難しいのか

世の中では「論理思考」が必要とされる場面が多々ある。しかし、論理思考の学習は簡単ではない。論理思考を勉強した経験があっても、本番でうまく実践できないと感じている人も多いものだ。論理思考の指導では、明確に問いを定義すること、「なぜ」を繰り返して課題を深掘りすること、考えた内容を構造化することなどが指導される。しかし、これらを踏まえ類題や実際の仕事に取り組んでも、同様のミスを繰り返してしまうことが少なくない。

構造化ができないのは、構造化の必要性を認識していないからではない。多くの場合は、構造化に有用な視点を思いつく方法がわからないのだ。だから、有用性を学ぶのではなく、背景にある途中の思考内容を学習して理解する必要がある。

思考中にミスをしやすい箇所は多くの人に共通している。ミスの背景には、検討内容の偏りや見落としがあり、類題で同様のミスを繰り返すという傾向も共通だ。自力でミスに気づくには、客観的な視点から、自分の検討内容に偏り・見落としがないか検討する必要がある。「自分が客観的な視点を持てているか否かを判断するために、客観的な視点が必要」ということになり、自力でミスに気がつくのは容易ではない。

論理思考の前提知識
Radachynskyi/gettyimages

論理的思考は、「具体的な事実(ファクト)によって自分の意見の妥当性を補強できている」という条件を満たさなければならない。示したファクトが「具体的(深い)」で「多様(広い)」であるほど、より論理的といえる。

たとえば、「日本のフィットネスクラブは高すぎる」と言うだけでは個人的な感想にすぎない。日本の会費とアメリカの会費の平均を比べて根拠を示せば、論理的な意見に一歩近づくことができる。しかし、これだけではまだファクトを示す範囲が狭い。

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要約公開日 2022.06.10
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