最初にSDGsの根底に流れる世界観についてふれていく。
1つ目は「インクルージョン」(包摂性)というキーワードだ。これは、障がいをもつ人や民族少数者など、排除されやすい属性の人々が取り残されないよう擁護し、社会の一員として参画できるよう支え合うといった社会政策上の理念である。
2つ目は「誰ひとり取り残さない」というキーワードである。格差の拡大と様々な分断という社会課題を解決するための大切な考え方だ。SDGsパートナーズでは、この言葉を肯定形にした「すべての人が」と言い換えている。
3つ目は「世代を超えて」である。持続可能な開発という概念において、今までになかった「将来の視点」を意味する。「ありたい姿」から出発し、そこから現在の姿を振り返り、政策や手段を積み上げる「バックキャスティング」の方法が採用されている。
4つ目は「自分らしく」だ。一人ひとりの特性やニーズを考慮しながら人生の選択肢の幅を増やせる社会が大切であり、それこそが自由の実現と捉えている。
そして最後は「よく生きる」である。すべての人々が身体的、精神的、社会的に良く生きられる(well-being)世界を目指すことを目標に掲げている。
以上5つのキーワードがSDGsのめざす世界である。
SDGsの実践の拠りどころとなる、人間の安全保障とは何か。それは、一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する脅威から人々を守ろうとするものだ。そのうえで、一人ひとりが豊かな可能性を実現できるよう、トップからの保護とボトムアップでの能力強化を施し、持続可能な個人の自立とそれを促す強靭な社会づくりをめざす考え方である。人間の安全保障の考え方は、SDGsそのものの考え方の土台となっているうえに、SDGsの実践においても重視されている。このようにして、SDGsと人間の安全保障の基本姿勢は、一直線上でつながっているのだ。
企業経営においてSDGsを経営戦略に練りこむためには、時間的逆算思考、論理的逆算思考、リンケージ思考が必要となる。
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