1994年から2003年までの10年間で、子どもの双極性障害の診断数が40倍に増加し、2002年から2005年のわずか3年の間にADHDの薬の処方が40%増加した。このような問題の増加は、子どもたちが日常生活でデジタルスクリーンにさらされる機会が増加していることと密接に関係している。
様々なスクリーンメディアがもたらす影響は、まだ完全には解明されていない。だが、時間の無駄遣いや座りっぱなしで健康を損なうということだけでなく、スクリーンそのものが本質的に有害であると示唆する証拠が増えている。親は、適度な使用なら問題なく、悪いゲームを避ければ良いと考えがちだ。しかし、慢性的なイライラ、集中力の低下、感情を抑制できない、反抗的行動などの問題を抱える子どもが近年増加しているのは、インターネットやスマホ、ゲームなどで電子機器のスクリーンを見続けるという、環境の大きな変化に起因している可能性がある。
著者はデジタルスクリーンのメディアにさらされることで生じる症状を「デジタルスクリーン症候群」と名づけ、そうした症状が現れた子どもに対して「デジタルデトックス」と呼ぶ介入を行ってきた。この結果、精神疾患と診断された子どもの約80%に顕著な改善が見られた。本書では、デジタルスクリーンの影響と、回復プログラムを紹介する。
スマホやPCのような双方向のデジタル機器の強い刺激は、神経系を「戦うか逃げるか」というモードに移行させ、さまざまな調整不全を引き起こし、精神疾患にそっくりな症状を起こす。デジタル機器は、カフェイン、アンフェタミン、コカインなどの「ドラッグ(覚醒剤)」と同様のものと見なせるのだ。スクリーン機器を使うと、身体が高揚して集中力が高まるが、その後に神経系への過剰な刺激による「クラッシュ」が生じ、覚醒剤と同様に、身体に様々な影響を及ぼす。体内から薬物が消えた後も影響が残り続けるように、デジタル機器の使用は、長く中枢神経に影響を与えることがある。コカインやメタンフェタミンなどの覚醒剤の乱用や依存症は、実際に、デジタルスクリーン症候群の症状とよく似た特徴がある。
研究結果から、パソコン、テレビ、ゲーム、スマホ、タブレット、電子書籍などのすべてのスクリーン活動が神経系に刺激を与え、
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