ファイナンスの勉強に、必要以上の時間とお金をかける必要はない。あくまでビジネスの現場で大切なのは、アクションに結びつく分析や提案をし、それを実現することだからだ。
ファイナンス理論は世界のビジネスにおける共通言語である。ファイナンスとは、「企業が行う財務的な意思決定の方法を学ぶ学問」を意味する。投資すべきか否か、どう調達するか、いくら株主還元するか。これら3つの意思決定の先にあるのは企業価値の最大化だ。本書のエッセンスの一部を紹介していく。
お金の価値は「そのお金をいつ受け取るか」で変わる。明日の100万円より今日の100万円のほうが、価値があるということだ。
いまの100万円をたとえば国債で運用すると、時間の経過とともに利息を生む。これを「お金の時間価値」という。将来価値は、将来のある時点に受け取るお金の価値を表す。一方、現在価値は、将来に受け取るお金を現在の価値に割り引いたものである。
企業は投資なしに企業価値を高めることはできない。現在の投資が企業の将来を左右する。投資判断の決定プロセスは、プロジェクトのキャッシュフローの予測を行い、投資の判断指標を計算し、その計算結果と採択基準を比較して、基準を満たしていれば、プロジェクトを実行するというものになる。
ここからは、投資の経済的な価値を数値にした投資判断指標について説明する。著者がかつて勤務していた日産自動車では、投資判断に「正味現在価値(NPV:Net Present Value)」を使っていた。投資判断の本質は「価値(手に入れるもの)」と「価格(差し出すもの)」を比較することだ。NPV=プロジェクトが将来生み出すキャッシュフローの現在価値の合計額-初期投資額で計算できる。NPV>0なら投資すべき、NPV<0なら投資を見送るべきと判断する。複数のプロジェクトから1つを選ぶ場合は、NPVの大きいプロジェクトを選ぶ。
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