ESG投資で激変!

2030年 会社員の未来

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出版社
出版日
2022年09月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ビジネスに直結しそうにないのに、なぜESGの取り組みに注目が集まっているのだろう?」「投資家に選ばれるためにESG経営を推進するって、どういう意味?」

ESG(環境・社会・企業統治)という言葉が浸透しつつあるなかで、このような疑問を抱いたことがある人は多いだろう。

本書の著者、市川祐子氏は、楽天(現 楽天グループ)とNECグループで15年間IR(投資家向け広報)を担当。現在は上場・未上場の複数企業の社外役員を務め、企業のIR担当者や起業家向けにコーポレートガバナンスやIRについてのコンサルティングも行う、IRのプロフェッショナルだ。本書ではそんな市川氏が、ESGを軸に、これからを生きるビジネスパーソンが知っておくべき情報をたっぷり教えてくれる。

市川氏によると、冒頭の質問の答えは「ESGは経済的な価値に関係があることだから」だ。要するにESGに取り組まない企業は「儲からない」のである。

「環境や社会問題は、政府に任せておけばいい」「直近で困っていないのだから、わざわざ時間とお金をかけて取り組む必要はない」と考えている人は、今すぐ本書を手に取ってほしい。ESGに目を向けるべき理由がすっきり理解でき、世界の見え方はもちろんのこと、今後のキャリア戦略さえ変わってくるかもしれない。

著者

市川祐子(いちかわ ゆうこ)
マーケットリバー代表取締役。楽天(現 楽天グループ)、NECグループで15年間IR(インベスター・リレーションズ/投資家向け広報)を担当。2005年に入社した楽天では同社初の専任IR責任者として投資家との対話、資金調達、東証一部上場(指定替え)を担当。2016年に同社IR部長。Institutional Investor誌において2013年より5年連続で「Best IR Professionals」Tоp3にランクイン(セクター別)。現在は上場・未上場の複数企業の社外役員を務め、企業のIR担当者や起業家向けにコーポレートガバナンスやIRについてのコンサルティングも行う。「伊藤レポート(2.0)」委員(2016‐2017年)。一橋大学財務リーダーシップ・プログラム(HFLP)非常勤講師。著書に『楽天IR戦記「株を買ってもらえる会社」のつくり方』(日経BP)。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。1993年慶應義塾大学理工学部卒。

本書の要点

  • 要点
    1
    ESG(環境・社会・企業統治)の取り組みは経済的な価値に直結しているため、ESGに対応しない企業は長く稼ぎ続けられない。
  • 要点
    2
    「気候変動対策をしない場合に将来予想される世界の経済損失」と「今から対策する場合の世界のコスト総額」を比べると、「今から対策する場合」の方が断然安く済む。ESGに取り組むべき理由の一つはそこにある。
  • 要点
    3
    企業がESGに取り組むと、当面の収益率は下がるかもしれない。その一方で、企業価値はプラスになり、投資家から高く評価される可能性がある。

要約

【必読ポイント!】なぜ、企業にESGが必要なのか?

新しい会社のルール「ESG」

ESGはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字を取った言葉だ。ESGの具体的な項目としては、それぞれこんなものがある。

E:気候変動対策、生物多様性、水などの自然資源・エネルギー問題など

S:顧客対応、従業員との関係、取引先との関係、人権、地域社会への貢献など

G:株主・投資家との関係、取締役会、コンプライアンス、リスク管理など

売上や利益だけでなく、E・S・Gに配慮した投資は、欧米の株式市場で起こり、今や日本の市場にも浸透しつつある。ESG経営は「新しい会社のルール」になっているのだ。

「長く稼ぎ続ける会社」になれる
golfcphoto/gettyimages

近年ESGの取り組みが盛んになるなかで、「投資家は利益を追求する人たちのはずなのに、なぜ利益に関係ないことを主張するのだろう?」という疑問が多く聞かれる。この疑問にひと言で答えると「ESGは経済的な価値に関係があることだから」だ。

もう少し詳しく説明しよう。米国には、世界で最大の資産を運用している、ブラックロックという会社がある。ブラックロックのCEOであるラリー・フィンク氏は「気候リスクは、投資リスク」だという。

ブラックロックの事業は、運用によって顧客の資産を殖やすものだ。かなり先の未来まで顧客のお金を殖やすことに責任を持っているため、百年単位で考えて投資方針を決める必要がある。

また、ブラックロックが運用しているお金は1000兆円以上と、日本のGDPの約2倍にのぼるほど莫大であるため、世界中の上場企業数のうちかなりの割合に投資することになる。投資の基本は「投資先を分散してリスクを回避すること」だが、これほどの規模だと、世界経済全体の影響は避けられない。

それを踏まえて「まったく気候変動対策をしない場合、将来かかると予想される世界の経済損失」と「今から対策する場合の世界のコスト総額」のうち、より少なく済むのはどちらだろうか。もちろん、今から対策する方だ。ESGは経済的な価値に直結しており、ESGに対応しない限り長く稼ぎ続けられないことがわかっただろう。

「将来」と「今」のコストを減らせる

もしあなたの会社が「環境や社会問題は、政府や大企業に任せ、何もしないで様子見が得策だ」と考えているなら、あっという間にビジネスを失ってしまうかもしれない。

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要約公開日 2022.10.01
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