ミラーボールやスポットライトが輝くステージで、郷ひろみさんが謎のオリジナルソングを歌う。そしてお笑いトリオの3時のヒロインさんがタンバリンダンスを踊っている。この豪華なセットで強烈なインパクトを与えるCMは、美容クリニック「にしたんクリニック」のCMだ。どんな医療機関なのかは知らなくても、その名前は知っているという人は多いだろう。
著者が社長をつとめるエクスコムグローバル株式会社は、経営戦略やブランド戦略、マーケティング戦略など、あらゆる面から「にしたんクリニック」に携わっている。診療メニューは、美容点滴や注射、美容皮膚・レーザー治療だ。2020年からは、新型コロナウイルスのPCR検査も実施している。自宅で唾液を採取して送るシステムになっているので、クリニックに出向く必要はない。
このクリニックの特徴を数十秒のテレビCMで説明するのは難しい。伝えたい内容を詰め込めば詰め込むほど、視聴者に対するインパクトは薄まっていく。あのCMは、「知名度第一主義者」である著者が「にしたんクリニック」の名前だけを覚えてもらうためにつくったものだ。美容メニューやPCR検査など、細かいことはわからない。ただ「にしたんクリニック」の名前だけが視聴者の印象に残る。
これは、効率よく知名度を上げるための鉄則「一点突破」に基づいている。名前さえCMを見た人の記憶に残すことができれば、興味を持った人は必ずインターネットで検索するのだ。
ヒット作を生み出すために重要なのは、その商品が知られることだ。椅子が欲しいと思った人は、ネット検索をするとき、「椅子 おすすめ」のようなワードを使用する。そこで自社の商品が検索で引っかかるように、SEO(検索エンジン最適化)対策をし、少しでもサイトの上位に表示させることが必要になる。顧客が自社のサイトを見つけてくれたとしても、魅力的でなければ、別のところに行ってしまうだろう。目を引くキャッチコピーをつけ、競合との違いを打ち出し、自社品の購入を促すという、高いハードルが待っている。
一方で、知名度がある場合はどうだろうか。
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