リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」を意味する。海外ではデジタル化が進む中で技術的失業を未然に防ぎ、労働移動を実現するための解決策として、リスキリングが注目されてきた。技術的失業とは、テクノロジーの導入によりオートメーション化が加速し、人間の雇用が失われる社会的課題だ。技術的失業の最大の原因は、労働者のスキルギャップにある。
リスキリングで中心的な役割を果たす世界経済フォーラムは、2020年10月に次のような発表をした。今後5年間で、人間、機械、アルゴリズムの労働分担が進むことによって、8500万件の雇用が消失し、9700万件の新たな雇用が創出されるという。
雇用のなくなる仕事に就いている人々は、大きなスキルギャップが生じているため、そのまますぐに新しく生まれた仕事に就けるわけではない。多くの労働者が技術的失業によって仕事を失う前に、成長産業で必要なスキルを新たに身につけるリスキリングが重要になっているのだ。
世界経済フォーラムは、技術的失業に対する解決策としてReskilling Revolution Platformというプロジェクトを開始した。そこでは「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」という宣言が採択された。先述したレポートでは、次のような予測をしている。
・2025年までに企業は6%の人員削減が必要
・従業員の2人に1人はリスキリングが必要(主にデジタルスキル転換)
・上記に該当しない半分の従業員も、自分が持つ40%のスキルを変化する労働市場に適応させることが必要
・雇用主は2025年までに従業員の70%以上にリスキリングを実施
2022年1月には途中経過として、全世界で1億人のリスキリングを完了したと発表があった。今後も各国でリスキリングの取り組みがますます積極的におこなわれるだろう。
先を見通せない時代において、働き続けるための最重要スキルは、自身をリスキリングするスキルだ。
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