エンジニアには2種類のキャリアパスがある。エンジニアリングマネジメントとテクニカルリーダーシップだ。本書の主題となるのは後者、テクニカルリーダーシップである。
テクニカルリーダーシップへの道にはさまざまな中継点がある。本書ではその中継点を、下から順に「シニア」「スタッフ」「プリンシパル」「ディスティングイッシュト」と定義し、上位3つを「スタッフプラス」と呼ぶ。
一般的にこれらの役職は、組織が大きくなるにつれて1つずつ追加されるものだ。テクニカルリーダーシップに携わるレベルを1つしか設定しない会社では、通常「スタッフ」が役職名となる。
昇進には多くの時間とエネルギーが必要だ。シニアエンジニアとして快適に働いている人は、スタッフエンジニアを目指すべきかどうか悩むかもしれない。
検討材料として、スタッフプラスエンジニアになるメリットを3つ紹介しよう。
1つ目は、年功序列制度から逃れられること。スタッフプラスの肩書きがあれば、自分の力を証明する必要がなくなり、もっと大切な仕事に集中できる。
2つ目は、「部屋」へのアクセスが容易になること。上層部を中心とした、組織の重要な意思決定の場に参加しやすくなる。
そして3つ目は、現在および将来の報酬が増えることだ。
スタッフプラスエンジニアを指導・育成した経験と、本書を執筆するために多くの取材をした経験から、著者はスタッフプラスに求められる能力と行動を8つ挙げている。要約ではそのうち2つを取り上げる。
まず「重要なことに力を注ぐ」だ。上級職になればなるほど動ける時間は減る一方、より多くの成果を出すことが求められる。そこには3つの障害がある。
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