目標となる金額を設定し、戦略的に増やすことが資産形成である。資産形成は、使える時間が長ければ長いほど達成しやすい。つまり、早く始めることで戦略的に目標到達できる可能性が高まると言える。資産形成の戦略を考えるには、現在の「お金の実力」を把握し、目標達成のためのスタート地点を確認することから始めよう。例えば、「渋谷に行きたい」と思ってもどのような交通手段が必要か、時間はどの程度かかるのかを把握していないと思い通りに到着しない。資産形成も同様で、目標がはっきりしていても、自分の今のお金の実力を正しく把握できなければ、目標にたどり着く正しい戦略を立てることはできない。
もちろん、思いつきでなんとなく投資を始めることはできる。しかし、思いつきでは、目標を達成できるかは不透明となるし、お金の不安を拭い去ることはできない。だからこそ、スタート地点の把握が重要となる。
スタート地点を把握するポイントは、目に見えるお金だけで自分の「お金の実力」を把握しないことである。手元にあるお金や自分に見えているお金だけにとらわれると、すでにスタート地点にズレが生じることになる。
資産には、お金のほかに保険や不動産、貴金属なども含まれることを前提とし、これらの資産をもれなく確認することが大切である。
自分の資産状況を丸裸にするツールとして、企業経営に必須であるバランスシート(貸借対照表)を用いるといい。保有する資産を現金化したと仮定して資産の部に記載し、ローンなどを負債の部に記載する。資産の部と負債の部の差額が純資産、つまり「お金の実力」が容易に見える化できるのだ。
資産形成の第一歩として、自分のバランスシートを作成してみよう。
バランスシートは、今の自分の資産状況という意味で、二次元である。現状のバランスシートを作成したら、将来にのびる時間軸を加えてみよう。つまり、20年後、30年後も入ってくるであろう、将来のキャッシュフローを加え、資産を三次元化してみるのだ。会社員として働く限り、これからも給料は毎月入ってくる。資産の三次元化で、「真のお金の実力」が判明することになる。
年齢が若いほど、資産の三次元化の効果は絶大である。今の自分のバランスシート(二次元)を作成すると、年齢が若いほど資産が少ない傾向があり、お金の実力が乏しいことに愕然とするだろう。
しかし、今の資産に、将来のキャッシュフローを加えると、自分のポテンシャルは意外と高いことに気づくはずだ。
例えば、現在の実力(資産額)が300万円の場合、毎年100万円を30年貯めることができると、真の実力は3300万円となる。「お金の実力」を300万円と捉えるか、3300万円と捉えるかで、資産形成の戦略は大きく変わっていく。
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