日本を飛び出して出稼ぎをする人が増えている。実際に、オーストラリアのシドニーでアシスタントナース(看護補助)として月給約100万円を稼ぐ女性や、アメリカのマイアミで年収8000万円を稼ぐ寿司職人などの例がある。
こうした人たちが増加傾向にある背景には、日本で十分な給料を得ることが難しくなっていることがある。日本の最低賃金は時給961円(2022年12月)、正規社員の平均年収の中央値は470万円と、主要先進国・G7の中で最下位に沈む。一方アメリカの平均時給は約4300円(32・58ドル)であり、1日8時間労働で20日間働けば月給約70万円になる計算だ。
ここで注意したいのが物価である。月給が2倍になっても、生活費が3倍になったら生活は成り立たない。賃金が高い先進国の都市部ではインフレが進んでいる。例えば、ニューヨークにある大戸屋のさばの炭火焼き定食は、チップと税込みで5000円以上する。海外ほどのインフレが進んでいない日本でも、物価上昇の波は避けられないだろう。
物価が上がっても、それ以上に年収が上がれば問題ない。しかし年収は、働く会社や業界によって大きく変わる。世界に目を向けると格差はさらに拡大し、AppleやMicrosoftなどの世界最強企業の会社員ともなれば、高収入に加え有給休暇も多い。つまり「どこのイスに座るか」で、あなたの年収は決まるということだ。
円安・インフレが進む日本では、先行きの不透明感が高まっている。そもそもインフレは、供給より需要が大きい場合に発生する。原油や液化天然ガス(LNG)は、供給不足のなかで国同士の奪い合いが続き、価格が押し上げられている。また、円安が起きている理由は金利差である。アメリカと比較して経済成長率が低い日本は、金利も低く抑えられている。日本銀行は経済活性化のために金融緩和を続けているが、それが金利の上昇を阻んでいるのだ。
金融緩和を続けても景気が上向かない日本では、近い将来「増税」に踏み切る可能性が高い。私たちは、自分の手で自分の人生を切り拓かなければならない。
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