渋沢栄一 一日一言

未読
渋沢栄一  一日一言
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渋沢栄一  一日一言
出版社
致知出版社

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出版日
2023年04月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は、渋沢栄一の訓言集である。渋沢栄一といえば、日本初の銀行や数多の企業の設立に携わった「日本資本主義の父」であり、昨今では大河ドラマや新1万円札の顔としても注目されている。

渋沢が生きた江戸末期から昭和初期は、日本が大きく変わった時代である。若き渋沢栄一は幕藩体制の官尊民卑に疑問をもち、近代国家の建設に奔走。帝国主義の嵐が吹き荒れ、ともすれば西洋列強に侵略されかねない危機的な状況下で、渋沢は経済力の向上や積極的な民間外交によって、日本の立場を盤石なものにしていった。

現在は、当時に負けず劣らず時代の転換期にある。ウクライナ危機や先進的生成AIの登場などにより、これまでの延長上に未来が描けなくなっている。価値観が大きく揺らぐなか、渋沢の言葉は「人間が普遍的に大切にすべきこと」を改めて気づかせてくれる。

本書は致知出版社の「一日一言シリーズ」の一冊で、歴史的偉人や名著の金言を一日一訓、366日分紹介している。本書に掲載される渋沢の言葉は、いずれも本人が話したり書き記したりした「生声」である。当時の表現そのままに引用しているため、表現が少し難しく感じるかもしれないが、その分、本人のリアルな手触りが感じられる。

本書は、渋沢栄一に興味をもったが、どの本から読んでいいのかわからない“渋沢ビギナー”にもうってつけである。まずは今日の日付や自分の誕生日など、気になった日の言葉から読んでみよう。渋沢栄一が、あなたにまっすぐ語りかけてくれるだろう。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

渋沢栄一(しぶさわ えいいち)
1840年〜1931年。実業家。埼玉生まれ。一橋家に仕えて幕臣となり、パリ万国博覧会幕府使節団に加わり渡欧。維新後、大蔵省官吏を経て第一国立銀行を設立。各種の会社設立に参画し、実業界の指導的役割を果たした。教育・社会事業にも尽力。著書に『論語と算盤』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    人生は「死ぬまで学問」だ。人は生涯学び続けなければならない。
  • 要点
    2
    人の人格に最も大切なものは「至誠」である。何事も至誠をもって事にあたる必要がある。
  • 要点
    3
    人を採用する際は、その人をよく観察しなければならない。そして適材適所、その人に合った仕事を任せよう。
  • 要点
    4
    人の欲には際限がないため、「足るを知り、分を守る」ことが大切だ。
  • 要点
    5
    事業は苦しくなった時ほど、積極的な方針を取るといい。一旦こうと決めたことは、果敢に邁進するべきである。

要約

【必読ポイント!】仕事の基本

人の和を大切に

個人の仕事でも会社の事業でも、天運よりも人の和が大切である。人の和があれば、たとえ逆境に立っても成功する。ここで言う和とは、次の4つの要件を備えなければならない。

第一に、堅い志があること。第二に、知識が豊富であること。第三に、勉強心が旺盛であること。第四に、忍耐力をもっていること。この4つを備えて和を心がければ、怖いものはない。

逆に、新しく始めた事業が運良く発展しても、人の和が得られなければ、事業の持続は難しいだろう。天運は永遠のものではなく、必ず終息する時が来るからである。

学問と実務

学問とは実務であり、実務とは学問である。学校で学ぶ学問は、実務の下ごしらえのようなものだ。人生は「死ぬまで学問」と考えねばならない。

学問と実務は切っても切れない関係にあり、別のものとして考えることは間違っている。つまり、学問は実務を助けるためにあるのであり、学問と実務は切り離せないものとして、人は生涯学び続けなければならない。

真の職業人とは
JGalione/gettyimages

人は常道を歩み、その本分によって得た報酬によって生きるべきである。

自分の利益を優先して、利益を得たいがために商売をすることは、報酬のために職務を執行することと同じである。つまり、報酬さえ得られれば職務はどうでもいいということで、これでは本末転倒である。

たとえどのような仕事であっても、一生懸命に勤めれば、国に公益をもたらすほどの価値がある。職業や身分にかかわらず、道理にそむかず自らの力を尽くして立身することに真の意義があり、その人こそ価値ある人なのである。

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要約公開日 2023.06.30
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