会社で働くあなたは、自身の「雇用契約書」を読んだ覚えがあるだろうか。民法上の「雇用契約」とは、従業員が「労働力」を提供し、その代わりに「賃金」を受け取るというものだ。この契約では従業員は管理者の命令に従わなければならないが、その指示や命令が法に反する場合、また公序良俗に反する場合はその限りではない。また、管理者は従業員の労働に対する裁量権を持っているものの、従業員の能力や生活環境、健康状態に見合った仕事を提供しなくてはならない。
会社の業務において、個人の責任には限りがある。無理を引き受けるとしたら、それは会社である。そのために、会社は利益余剰金(内部留保)を積んでいるのだ。
管理者に求められる力の一つが「人を診る」力だ。部下が元気か、疲れていないか。疲労の色が濃い場合は、休養や受診を勧める。セルフケアだけに頼るのではなく、しっかりとラインケア(上司または人事担当による管理)を行うべきだ。この時に大事なのは「キャパシティは人によって異なる」ことを肝に銘じることである。能力は人それぞれのため、その人の問題ではなく人の配置の問題と捉えるべきだ。
また、「あるべき管理職像を演じる」ことも重要だ。勤務中は徹底的に仮面を被り、本音を出さず、舞台の役者のように与えられた“役”をこなすのだ。その演技料が管理職手当に相当する。「形ばかりで心がこもっていなければ意味がない」と思うかもしれないが、心配ない。仕事は仮面舞踏会(マスカレード)なのだから、演じることに専念しよう。それに、「演じ続ければいつか本物になれる」のが人間の面白いところだ。
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