シリコンバレーで成功するために、まず何をすべきか。シリコンバレーでは、「あなたはいったい何ができるのか」という単純な原理で人間関係が決まってくる。そうした中で、私は「自分ができることを積み重ね、自分の環境を変えること」が重要だと考えている。
またシリコンバレーが多く起業家たちを惹きつける理由は、中心に位置するスタンフォード大学が極めて大きいと考えている。スタンフォードのモットーは「自由の風が吹き抜ける」であり、それは現在では「世界で自由と希望の伝達者となって活躍する期待」が込められている。「好きなことをやれ、やることを好きになれ」という考え方は、シリコンバレーに住む多くの住民や若者の行動原理となっている雰囲気さえある。
シリコンバレーに漂う起業家精神とは、自分の心の声に従う強さと勇気である。自分の心から楽しいと思える仕事を追求する生き様なのだ。
シリコンバレーで成功している起業家に共通していることは何だろうか。私はこの10年間、数えきれないほどの起業家と出会い、そのなかで成功したと言われる経営者に三つの特筆すべき特徴があった。
まず一つ目は、メガロマニア、日本語では誇大妄想癖という意味で、自分はほかの誰よりも優れている、必ず勝つはずだという強烈な自信と、成功意欲にあふれている精神を言う。その多くは自信過剰ともいえるが、それがカリスマとなって表れ人を惹きつける。ビジネスや技術のブレイクスルーもいい意味で”根拠なき自信”がベースで起きたりする。
二つ目は、パラノイア、日本語でいうと偏執症という意味で、ある特定の妄想に取り付かれるタイプである。いつ競合が現れるか、いつ商品が問題を起こすか…常に勝ち続けるために邁進するのが彼らの宿命だ。技術進歩が激しく絶えず競争にさらされる世界では、多少パラノイアでないと勝ち残れないことは明白だ。
三つ目は、ヒューメイン、日本語でいう思いやる心や、義理人情といった人間味あふれるキャラクターである。ビジネスに貪欲な一方で、無邪気であったり、多少抜けていたり、情け深い側面があるからこそ、人はそのような経営者についていきたいと思う。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズ、フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグなど皆この3つの資質を持っている。彼らと働いた人の中ではひどい経験をしたという人以上に”信者”がいることも事実だ。日本にももっとメガロマニアで、パラノイアで、ヒューメインなリーダーが増えてほしい。「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」のだ。
起業家にとって、「夢」は成功への生命線だ。では夢はどこまで大きく考えるべきなのか。これまで出会った経営者で、成功した人の言葉を思い出すとある一定の法則が見いだせた。それは、夢というものは、今の自分の実力で達成可能と思えるうちは小さすぎる。自分が「少し怖いと思える」くらいでなければならないということだ。
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