ユニコーン起業家の思考法

Love the Problem 問題に恋をしよう

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ユニコーン起業家の思考法
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Love the Problem 問題に恋をしよう
出版社
日本実業出版社

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出版日
2024年03月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ユニコーン企業」という言葉がある。これは一般に「企業価値評価額10億ドル以上で、設立10年以内の未上場ベンチャー企業」を指す。そのような価値を持つに至る企業は極めて少なく、その希少さから幻獣ユニコーンにたとえられる。起業家にとってこうした会社を作ることは夢のひとつであると言ってよいだろう。

本書の著者であるユリ・レヴィーンは、そのキャリアにおいてユニコーン企業を2つも創出している連続起業家である。ドライバー向けナビゲーションアプリ「ウェイズ」はGoogleに11億5000ドルで、公共交通機関のナビゲーションアプリ「ムービット」はインテルに10億ドルで売却されている。

なぜユニコーン企業を2つも創り出すことができたのか。ユリ・レヴィーンはこう語る。それは、問題に恋をすることだ――。

本書はさまざまな困難を乗り越える一途さを「恋」に、ユーザーにとっての初めてのプロダクト体験を「ファーストキス」に、イグジットを「子どもが生まれること」にたとえる。ひとつひとつの比喩によって表される具体的なアドバイスの内実も重要であるが、そのストーリーテリングの巧みさこそが、ユニコーン企業を創出するに必要な条件のひとつであるのだろうと感じさせる。

我々は誰もがユニコーンを求めている。しかしその幻獣が実在すると投資家やチームメンバーに信じさせることができるのは、ストーリーの力なのだ。

ライター画像
池田明季哉

著者

ユリ・レヴィーン(Uri Levine)
2つのユニコーン企業=デュオコーン(二角獣)を生み出した連続起業家・創造的破壊者。世界最大のコミュニティベースの運転・渋滞・ナビゲーションアプリのウェイズを立ち上げ、2013年に11.5億ドルでグーグルに売却、2020年にムービットを10億ドルでインテルに売却した。スタートアップを通じて、非効率的な市場を破壊して不十分な機能のサービスを改善し、「大きな問題」に集中して消費者の時間とお金を節約し、消費者に力を与えて世界をよりよい場所へと変えてきた。幾多の失敗から大成功までの過程で培った知見をもとに、次世代の起業家のメンターも務めている。2015年には、エフード・シャブタイとアミール・シナーと共に、国際NPO「Genius 100」財団により「世界の100人」に選出された。

本書の要点

  • 要点
    1
    スタートアップを立ち上げるときは、問題に恋をすべきだ。決して解決策に恋をしてはならない。解くべき問題こそが重要で、解決策は後から来るものだからだ。
  • 要点
    2
    恋をするべき問題は、解決すべき価値のある問題でなければならない。たくさんのデートを重ねて運命の1人を決めるように、取り組むべき問題を吟味しなくてはならない。
  • 要点
    3
    ユーザーにとって、プロダクトとの出会いは初めてのキスである。二度とやり直すことはできず、忘れられることもない。ユーザーの体験は慎重に作り込む必要がある。
  • 要点
    4
    イグジットは子どもに似ている。子どもが大人になるように、買収された会社はもはや自分の手を離れる。そのことを受け入れる心の準備が必要だ。

要約

【必読ポイント!】 解決策ではなく、問題に恋をしよう

スタートアップは恋に似ている
Andrei Haurylau/gettyimages

スタートアップの立ち上げは常に「問題」からはじまる。なにかに不満を感じ、他の人達も同じ不満を感じていることに気づき、その不満を和らげる方法を探していく。もしそれが非常に大きな問題であるなら、解決策はたくさんの価値を生み、起業家に成功をもたらすことになるだろう。

起業は、長く、厳しく、つらい道のりになる。その困難に耐え抜くには情熱が必要だ。だからこそ、自分が解決しようとしている問題に恋をすること――それがスタートアップを立ち上げるのに最も重要なことなのだ。

運命の人を心に決めるまでにたくさんの人とデートを重ねるように、はじめはたくさんのアイデアを同時に追いかけるが、最終的にはその中からひとつを選んで取り組むことになる。

最初のころは、そのアイデアのことばかりを考え、問題やユーザー、ソリューション、ビジネスモデルなど、ありとあらゆることについて思いを巡らせることになるだろう。さながら恋に落ちたばかりのころに、大好きな人と時間を過ごしていたいと思うように。

十分に自信が持てる段階になったら、自分のアイデアを友人に聞かせる。するとたいてい「そんなのうまくいかない」と言われる。友人に初めて恋人を紹介するときは、だいたいそんなものだ。そのせいで友人と疎遠になってしまうことがある点も同じだ。

他人の意見も聞けなくなるほど恋をしているのは喜ばしいことだ。もちろん、友人やビジネスパートナー、投資家の意見に耳を傾けられないほど恋をしていることで、問題が生じることもある。しかしそれでもなお、スタートアップという旅を続けるには、恋をする必要がある。長く複雑で困難なジェットコースターのような道のりは、恋をしていなければとても耐えられるものではないのだ。

解決に値する大きな問題を見つける

それを解決できたらよりよい世界になるだろうと思える、解決に値する問題を見つけたら、次に考えるのは「その問題を抱えているのは誰か」ということだ。答えが「自分だけ」なら、その問題に取り組むのはやめておいたほうがいいかもしれない。

その問題を抱えている人がたくさんいるなら、その人たちのところに行って話を聞き、問題をどのように認識しているのかを理解しよう。解決策を作るのはそれからだ。

特にその問題がもたらす苦痛――「ペイン」を捉えることが大切だ。ペインがどれくらい強いか、どのくらい頻繁に悩まされるかを考えてみよう。痛みが強く、一日に何回も遭遇する問題であるなら、それは重大な問題に目をつけたといえる。

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要約公開日 2024.04.06
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