日本の組織、社会、家庭におけるジェンダー不平等の状態を、著者は「性別ガチャ」と表現する。生まれたときの性別だけで分けられたのち、男性ならば仕事をして稼ぐ人、女性ならば家族の面倒を見る人というように、一方的な役割を期待される状況を指す。「固定的性別役割分担」に、「自分の意志や選択を無視される」という意味合いが込められている。
現在の学生は小中学校でジェンダー平等を教育されていて、ジェンダーレスな美意識も浸透している。ところが、会社に入ると幹部層は男性ばかりだ。難易度の高い仕事は女性にあまり任されない。出産を経ると、育児家事を主に担当するのは女性とされ、リーダー育成の枠から外されていく。こうした旧態依然とした価値観による「性別ガチャ」に、多くの学生は驚くはずだ。さらには、「男だから残業は当然」「男が育休なんて意味がない」といった考え方は批判の対象となるだろう。
国家・企業・家庭それぞれの単位で「性別ガチャ」が存在している。中でも企業単位の課題は、「役員比率」と「正社員比率」で男女に偏りがある点だ。日本以外のG7諸国の女性役員比率は、2022年時点で39%である。これに対し日本は10%にも満たない。
3,400冊以上の要約が楽しめる