ダイバーシティ・女性活躍はなぜ進まない?

組織の成長を阻む性別ガチャ克服法
未読
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組織の成長を阻む性別ガチャ克服法
未読
ダイバーシティ・女性活躍はなぜ進まない?
出版社
出版日
2024年06月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「女性活躍=逆差別ではないか」「女性は時短勤務が多くて、管理職候補がいない」「女性を役員にして業績が上がるのか」。こうした声を、職場で耳にしたことはないだろうか。

日本では2023年3月期決算から、有価証券報告書を発行している企業を対象に、人的資本開示が義務化された。企業における女性活躍・ダイバーシティ推進の重要性は増すばかりだ。しかし、日本の組織はもちろん、家庭でも社会でも、ジェンダー不平等が根付いているのが現状である。

著者はこの状態を、「性別ガチャ」と表現する。「性別ガチャ」とは、生まれたときの性別だけで分けられたのち、一方的な役割を期待される状況を指す。「性別ガチャ」が、いかに組織の成長を阻んでいるか。ダイバーシティ分野の第一人者である羽生祥子氏は、日本の歴史や各種データをひも解きながら、この点を解き明かしていく。時代ごとにどんな男性像・女性像があったのかを知ると、「性別ガチャ」の正体が見えてくる。そのうえで、著者は、現場でよくある質問や悩みに対する実践的な解決策を提示していく。どうやって現場で建設的に議論し、アクションを起こしていけばいいかが腹落ちできるだろう。

本書では、性別によって生き方・働き方を固定させない社会にしよう、という著者の願いが一貫して伝わってくる。納得感をもって女性活躍・ダイバーシティを推進できる組織・チームづくりをめざす方にピッタリの一冊だ。

ライター画像
松尾美里

著者

羽生祥子(はぶ さちこ)
著作家・メディアプロデューサー
京都大学農学部入学、総合人間学部卒業(文芸論主専攻、認知科学論副専攻)。2000年に卒業するも就職氷河期の波を受け渡仏。帰国後に無職、フリーランス、ベンチャー、契約社員、業務委託など多様な働き方を経験しながらサバイバル。2002年編集工学研究所に入社し松岡正剛に師事。「千夜千冊」「情報の歴史」に関わる。05年日経ホーム出版社(当時)入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL(当時)」を創刊し編集長。18年「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。22年株式会社羽生プロ設立、代表取締役社長。内閣府少子化対策大綱検討会、厚生労働省イクメンプロジェクト、東京都子供子育て会議の委員などを歴任し、働く女性や共働き家族の声を発信している。大学講師、企業セミナー、TV等出演多数。プライベートでは2児の母。趣味はピアノ、料理、水泳、筋トレ、金融の勉強。目下、グローバルの中で薄れつつある「日本の個性」に着目。大阪・関西万博Womens’Pavilion WAプロデューサーとして女性活躍について国内外に発信中。

本書の要点

  • 要点
    1
    旧態依然とした価値観による「性別ガチャ」が、日本の組織をむしばんでいる。
  • 要点
    2
    女性活躍推進の必要性を理解するためには、各時代の政府方針と労働背景を知ることが大事になる。
  • 要点
    3
    著者は、「女性活躍は逆差別ではないか?」といった「現場によくある10の質問」に、具体的なノウハウを添えて答えている。質問に含まれる「モヤモヤ・疑念」をスッキリさせることが重要となる。

要約

【必読ポイント!】 「性別ガチャ」の正体

「性別ガチャ」が日本の組織をむしばむ

日本の組織、社会、家庭におけるジェンダー不平等の状態を、著者は「性別ガチャ」と表現する。生まれたときの性別だけで分けられたのち、男性ならば仕事をして稼ぐ人、女性ならば家族の面倒を見る人というように、一方的な役割を期待される状況を指す。「固定的性別役割分担」に、「自分の意志や選択を無視される」という意味合いが込められている。

現在の学生は小中学校でジェンダー平等を教育されていて、ジェンダーレスな美意識も浸透している。ところが、会社に入ると幹部層は男性ばかりだ。難易度の高い仕事は女性にあまり任されない。出産を経ると、育児家事を主に担当するのは女性とされ、リーダー育成の枠から外されていく。こうした旧態依然とした価値観による「性別ガチャ」に、多くの学生は驚くはずだ。さらには、「男だから残業は当然」「男が育休なんて意味がない」といった考え方は批判の対象となるだろう。

企業内での「性別ガチャ」

国家・企業・家庭それぞれの単位で「性別ガチャ」が存在している。中でも企業単位の課題は、「役員比率」と「正社員比率」で男女に偏りがある点だ。日本以外のG7諸国の女性役員比率は、2022年時点で39%である。これに対し日本は10%にも満たない。

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要約公開日 2024.08.21
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