「血圧高いわ。最近は悪玉コレステロールも増えてきたし」「血糖値はそれほどでもないけど、中性脂肪がなあ」。
健康診断の受診後、このように「1つ1つの値」を見て一喜一憂していないだろうか。だが本来、診断結果をバラバラに見て終わりにするのは、正しい見方とは言えない。
また40歳を超えると、「特定健診(メタボ健診)」を受ける必要がある。メタボ健診の目的は、心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など心臓や血管の病気)の重症化や、糖尿病の合併症を防ぐことだ。そのためメタボ健診の結果は項目別に見るのではなく、「血管の状態がどうなっているか」を知ることがポイントとなる。結果を見れば、血管の状態を推測できるからだ。
「人は血管から老化する」という言葉があるが、血管の状態はその人の健康状態を表している。血管が痛むと血管の壁が硬くなったり動脈硬化になったりして、心筋梗塞など危険な病気を引き起こすリスクが格段に高まる。
健康診断の結果から血管の状態を推測するにはどうすればいいか。血管の傷みは、次の5つの段階を踏んで進行していく。健診で異常値が出た項目をチェックするだけで、自分の血管がどのくらい傷んでいるかがわかるのだ。
(1)潜在的に進行する段階:BMI、腹囲、中性脂肪、肝機能(AST、ALT、γ―GTP)
(2)血管が傷み始める段階:血圧、血糖・HbA1c、LDLコレステロール、尿酸
(3)血管が変化する段階:腎機能(尿たんぱく、クレアチニン、eGFR)、心電図(虚血性変化)、眼底検査(血管変化)
(4)健康障害
(5)要介護状態・障害
血管の傷みが深刻化して「健康障害」の段階になると、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、狭心症、糖尿病合併症、慢性腎不全になる危険性が高まる。さらに進むと、認知症や寝たきり状態、失明、心不全といった「要介護状態」に陥ってしまう。
3,400冊以上の要約が楽しめる