ビジネスシーンにおける「フィードバック」とは、相手の行動やその結果に対する評価を伝え、成長や改善を後押しすることを指す。
フィードバック(feedback)は、英語のfeed(与える、供給する)とback(後ろ、戻る)の2つから成り立つ単語だ。このうちfeedには「食べ物を与える」という意味もある。フィードバックを伝える側は、相手の成長にとって栄養となる情報を意識的に提供し、受け取る側はそれを自らの成長の糧にするという関係になっているのだ。
フィードバックをする際は、たとえ言いづらい内容であっても、相手の成長と改善を願い、誠意と敬意をもって率直に伝える必要がある。実際、外資系企業では「このフィードバックは、あなたの成長機会につながるギフトである」と表現することがある。ギフトを受け取った側は、自らが思う自分の姿と他者から見た自分の姿のギャップに気付き、そのギャップを埋めることにより、さらに成長できるのだ。
効果的なフィードバックには、事実(Example)、及ぼす効果・影響(Effect)、褒める・変更の提案(Congrats・Change)という3つの要素が含まれている。この構造は、3つの頭文字をとってEECと呼ばれる。
たとえば、職場改善レポートについて部下にフィードバックしたいときには、次のように3つの要素を意識して伝えると効果的だ。
ポジティブなフィードバックなら「先日のレポートは、伝えたい内容がうまくまとまっていて(Example)、スタッフのみんなも課題がクリアに理解できていた(Effect)ようです。素晴らしいですね。次回もあのスタイルでお願いします(Congrats)」といった伝え方。
一方、ネガティブなフィードバックなら「先日のレポートは、スライドだけの説明だったために(Example)、スタッフのみんなが正確に理解できていなくて、少し混乱していた(Effect)ようです。次回からは、資料を準備してはどうでしょうか(Change)」といった表現だ。
3つの要素が揃っているフィードバックは意外と少ないものだ。「スライドだけだったから、みんなわかってないみたいだぞ」と「変更の提案」が抜けたフィードバックだと、相手は改善の方向性がわからない。「次からは資料配って」とだけ伝えた場合には、「事実」と「及ぼす効果・影響」が抜けているため、相手をモヤモヤさせるだけだろう。
このように、EECが揃っていないフィードバックでは、相手は「はい・すみません」と返すだけになり、行動変容や成長につながりにくい。
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