グロースハッカー 第2版

未読
グロースハッカー 第2版
出版社
日経BP
出版日
2015年02月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

旧来のマーケティングやPR、広告業界の常識を覆すグロースハッカーの正体とは何なのか。彼らは、マーケッターとエンジニアのハイブリッドであり、最小限のコストで顧客を獲得し、製品またはサービスのユーザー数を数年で数千万人、数億人にまで増やす「成長請負人」である。彼らの目標は、製品・サービス自体を「自己永続マーケティングマシン」にすること。具体的には、立ち上げ段階でアーリーアダプターを巻き込み、製品あるいはサービスにクチコミを誘発させる要素を埋め込んで、データを分析して最適化を繰り返すのだ。直感ではなくデータに基づいた科学的な手法により、真に利益を生み出す顧客を定着させるグロースハッカーたち。彼らの活躍によって、フェイスブックやツイッター、アマゾンなどで多数の成功事例が生まれている。

本書には、筆者が世界最強のグロースハッカーたちにインタビューして学んだ内容が凝縮されている。ツイッターやアマゾンなどの具体例を通じて、グロースハックのマインドセットを習得する入門書として最適だ。

グロースハックは職種や事業を問わず適用できるという。本書に掲載されている筆者の事例を読めば、この手法がインターネットと馴染みの薄い業界や、既存製品・サービスにおいても非常に有用であることを実感できるはずだ。なお、本書は2013年12月に出版された第1版から内容を30%ほど増やして出版された、第2版である。内容が極めて実践的であり、とても読みやすく構成されていることから、是非書店で実際の書籍にあたってほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

ライアン・ホリデイ
作家のタッカー・マックスやアメリカン・アパレルのドヴ・チャーニーCEOといったひと癖あるクライアントを持つメディア戦略家。『権力(パワー)に翻弄されないための48の法則』の著者、ロバート・グリーンに師事するために19歳で大学を中退した後、多数のベストセラー作家、企業、人気ミュージシャンのアドバイザーを務める。現在はアメリカン・アパレルのマーケティングディレクターを務め、その実績は世界に知られている。ホリデイが手掛けたキャンペーンは、ツイッター、ユーチューブ、グーグルなどでケーススタディとして採用されており、アド・エイジ、ニューヨーク・タイムズ、ゴーカー、ファスト・カンパニーなどのメディアでも紹介された。ニューオーリンズ在住。
佐藤 由紀子
翻訳者。上智大学外国語学部ロシア語学科卒。IT系出版社で書籍編集に従事した後、2004年にアイティメディア株式会社に入社し、海外ニュースを担当する。2011年の退社後も毎日記事を発信中。東京都在住。
加藤 恭輔
2006年に一橋大学商学部経営学科を卒業。翌年公認会計士試験に合格し、優成監査法人に入所。公開会社、公開準備会社の会計監査業務に従事。2010年に公認会計士登録(2013年に業務廃止)後、同法人を退職しクックパッド株式会社に入社。経営企画室、経営会議室にてIR、事業推進、経営会議運営等を担当後、2012年よりプレミアムサービスの事業を統括、2014年に執行役員プレミアム会員事業部長。2015年より新規広告開発部長。

本書の要点

  • 要点
    1
    グロースハッカーは、最小限のコストで、測定可能かつ効率的な方法を用いて製品またはサービスのユーザー数を増やす「成長請負人」である。
  • 要点
    2
    グロースハッカーは、製品開発のフェーズから関わり、ユーザーからのフィードバックに基づいて製品の改良を行うことで、製品と顧客のニーズとがシンクロする状態を目指す。
  • 要点
    3
    忠誠度が高く情熱的なユーザーの集団を形成し、彼らにその製品の評判を広めてもらうためには、クチコミの種を製品の中に仕込む必要がある。

要約

【必読ポイント!】 成長請負人のマインドセットとは

グロースハッカーの登場

グロースハッカーは、検証・追跡・測定が可能なデータにもとづいて、ひたすら製品またはサービスの成長を追う。彼らは、自立し自己増殖する成長マシンの発明者であり、オペレーターであり、整備士だ。

グロースハックは、製品開発とマーケティングを切り離した従来のマーケティングを無意味にした。従来のマーケティングは、ブランドとインプレッションに基づいていたが、グロースハックは測定とROI(投資利益率)に拠って立つ。

グロースハッカーは、製品の立ち上げ時のマーケティングにほとんど資金を使わない。リソースがほぼない状態から、測定可能で効率的な方法を用いて、いかに注目を集め、持続させ、倍増させていくかを考えるのだ。

ステップ1 まずは人が欲しがるものを作れ
jeffsanjaya/iStock/Thinkstock

グロースハッカーのマインドセットは、製品開発・設計フェーズから始まる。マーケティングで絶対にやってはいけないことは、「誰も欲しがらないものを売ろうとすること」だ。グロースハッカーは、どんな製品であれ、それを最初に見た人が強く引きつけられるレベルになるまで改良できると考える。マーケティングで重要なのは、特定の人々のリアルで切実なニーズを満たす製品を生み出すことだと心得ているからだ。

ソーシャル写真サービスのインスタグラムを例に挙げよう。当初はバブーンという位置情報を利用するSNSだったが、創業者たちは、ユーザーが夢中になっているたった一つの機能である「フィルター付き写真機能」に着目し、フィルター付き写真投稿のためのモバイルアプリへと変身させた。このようにとにかくすばらしい製品を作ることが成功要因だ。

グロースハッカーが目指すのは、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)に達した状態、つまりサービスと顧客のニーズとがシンクロする状態である。この状態を生むためには、「実用最小限の製品」でスタートし、ユーザーからのフィードバックに基づいて改良し続けることが不可欠である。消費者、メディア、インフルエンサーに製品が広まるように最適化するのも、マーケッターの仕事なのだ。

例えばアマゾンでは、新企画の際に、製品あるいはサービスの完成を想定したプレスリリースを作成するという。その製品が対象顧客の課題をいかに効果的に解決するかを、わくわくするような、説得力に満ちた方法で説明できるまで、企画を練り直す。さらには、製品リリース前にFAQやユーザーマニュアルを作成し、客観的な視点から自分たちのアイデアを考えられるようにしている。

では、PMFに到達するために効果的な方法は何か。最も効果的なのは「ソクラテス式問答法」だ。

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要約公開日 2015.04.14
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