グロースハッカーは、検証・追跡・測定が可能なデータにもとづいて、ひたすら製品またはサービスの成長を追う。彼らは、自立し自己増殖する成長マシンの発明者であり、オペレーターであり、整備士だ。
グロースハックは、製品開発とマーケティングを切り離した従来のマーケティングを無意味にした。従来のマーケティングは、ブランドとインプレッションに基づいていたが、グロースハックは測定とROI(投資利益率)に拠って立つ。
グロースハッカーは、製品の立ち上げ時のマーケティングにほとんど資金を使わない。リソースがほぼない状態から、測定可能で効率的な方法を用いて、いかに注目を集め、持続させ、倍増させていくかを考えるのだ。
グロースハッカーのマインドセットは、製品開発・設計フェーズから始まる。マーケティングで絶対にやってはいけないことは、「誰も欲しがらないものを売ろうとすること」だ。グロースハッカーは、どんな製品であれ、それを最初に見た人が強く引きつけられるレベルになるまで改良できると考える。マーケティングで重要なのは、特定の人々のリアルで切実なニーズを満たす製品を生み出すことだと心得ているからだ。
ソーシャル写真サービスのインスタグラムを例に挙げよう。当初はバブーンという位置情報を利用するSNSだったが、創業者たちは、ユーザーが夢中になっているたった一つの機能である「フィルター付き写真機能」に着目し、フィルター付き写真投稿のためのモバイルアプリへと変身させた。このようにとにかくすばらしい製品を作ることが成功要因だ。
グロースハッカーが目指すのは、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)に達した状態、つまりサービスと顧客のニーズとがシンクロする状態である。この状態を生むためには、「実用最小限の製品」でスタートし、ユーザーからのフィードバックに基づいて改良し続けることが不可欠である。消費者、メディア、インフルエンサーに製品が広まるように最適化するのも、マーケッターの仕事なのだ。
例えばアマゾンでは、新企画の際に、製品あるいはサービスの完成を想定したプレスリリースを作成するという。その製品が対象顧客の課題をいかに効果的に解決するかを、わくわくするような、説得力に満ちた方法で説明できるまで、企画を練り直す。さらには、製品リリース前にFAQやユーザーマニュアルを作成し、客観的な視点から自分たちのアイデアを考えられるようにしている。
では、PMFに到達するために効果的な方法は何か。最も効果的なのは「ソクラテス式問答法」だ。
3,400冊以上の要約が楽しめる