新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座

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出版社
日本実業出版社

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出版日
2015年03月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

就職や部署異動、プロジェクトの参加などに際して、プレゼンを任される機会が急に増えたという方も多いのではないだろうか。「プレゼンに関する本はたくさんあるけれど、体系的かつ直感的に理解できる入門書があればいいのに」。そんなニーズに応えてくれるのが本書である。

この本では、広告業界で戦略プランナーとしてキャリアを築いてきた著者が、新人広告プランナーに教えているプレゼンの本質と技術を、資料作りから本番での伝え方までギュッと凝縮してまとめている。見開きの左には「プレゼンのスライド」風のページ、右には「話し原稿(スクリプト)」として本文を配するというレイアウトは、ポイントが直感的に頭に入るのを助けてくれる。テクニックが列挙されているのではなく、「今、何を学んでいて、それがプレゼンを成功させるためにどんな意味を持つのか」を常に意識できるつくりになっているのが、本書の大きな特長だといえる。

「ページ作りでは、Z字型の視線の動きを意識する」、「プレゼン中はMC(司会)の意識も持つ」といった、「まさにそういうことが知りたかった」と思うようなアドバイスが満載の一冊だ。プレゼンの力が大いに求められる広告プランナーへの指導内容がまとめられているとあれば、効果は推して知るべし、である。プレゼン上達のセミナーに匹敵する内容をこの一冊で学べるのはお得ではないだろうか。これまで自己流でプレゼンをしてきたが、原点に戻ってさらにプレゼンスキルを磨きたいという方にもおすすめの一冊である。

ライター画像
松尾美里

著者

長沢 朋哉
1965年、宮城県仙台市生まれ。早稲田大学第一文学部出身。現在、電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社に勤務。ストラテジック・プランニング/マーケティング・プランニング部門において、マーケティング戦略、ブランド戦略、コミュニケーション戦略、広告戦略など、広範な領域の戦略立案と実施案の開発に従事。著書に『世界一シンプルな「戦略」の本』(PHP研究所)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    プレゼンを成功させるための核は「主張を明快にすること」である。そのために、資料作りでは、必要な要素をわかりやすい順番で並べ、語られる内容すべてが結論につながる「ストーリー」を意識することが大切だ。
  • 要点
    2
    ストーリー作り の土台となるのは、「調査・分析」→「発見」→「初期仮説の組み立て」である。
  • 要点
    3
    おおまかなストーリーができたら、山場となるところを意識しつつ、個々のページを作っていく。
  • 要点
    4
    「話す技術」で最も大切なことは、「自信を感じさせること」と「メリハリをつけること」である。

要約

プレゼンの本質と全体像

何を伝えるか?
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

プレゼンの本質とは、聞き手に自分の主張を伝え、聞き手の「目と耳」に訴えかけることである。「目」に訴えるのは、プレゼンターの動きや表情と、資料に書かれた内容であり、「耳」に訴えるのはプレゼンターの話である。

プレゼンを、内容によって類型化すると、「提案型」と「報告型」とに分かれる。「提案型」では聞き手に意思決定をしてほしいことを明快にすること、「報告型」では事実だけでなくその解釈を加えることに留意したい。「提案型」は新商品企画など自由にアイデアを提案する「自由回答型」と、限られた選択肢から最適な回答を提案する「選択肢型」に細分化できる。

内容によって、また、プレゼンターの人数や資材、起立か着席かの形式によってもプレゼンのタイプは変わってくるので、それぞれの違いを意識した上で適切なタイプを選択することが大切である。

資料作りの核心「ストーリー作り」

プレゼンを成功させるためのコツは、「主張を明快にすること」に尽きる。そのために、資料作りにおいてストーリー作りを意識することが核心となる。

プレゼンにおけるストーリーとは、聞き手に主張を納得してもらうための話の流れである。よって、資料を作るときには、主張を納得してもらうために必要な要素をわかりやすい順番で並べ、語られる内容すべてが「結論」につながっていることを意識しなくてはいけない。

ストーリーの基本構造は、突き詰めれば「分析→主張」である。「分析」とは、事実を考察・解釈し、発見を見出すことであり、この発見が主張の「結論」を支える「根拠」になってくれる。

また、ビジネスのプレゼンにおいても、ストーリーが持つ「人の感情を動かす」力を活用することが大切だ。人は必ずしも論理だけで意思決定をしているわけではない。サプライズと期待感を感じてもらえる内容かどうかという点も、大事なチェック・ポイントなのである。プレゼンとはエンターテイメントという意識を持つとよい。

どう話し、どう見せるか?
Sergey Fedenko/Hemera/Thinkstock

プレゼン本番での「話し方・見せ方(Delivery)」の核心は、「自信を持つこと」と、「山場を意識すること」の2つである。

ここでの自信とは、「成功した結果、自然と身につくもの」ではなく、「成功するために意識して持つべき態度」である。自信を持てるようにするには、本番の会場をイメージして「メンタル・リハーサル」をすることを習慣化するのが効果的だ。

また、山場(クライマックス)とは、最も聞き手の記憶に残したい箇所のことである。事前に「ここが山場」だとプレゼンターが意識しているだけでも、聞き手にも自然とその「山場感」は伝わる。一般的には「結論とそれを支える重要な根拠」を述べた、重要な3か所程度(スライド3枚程度)を山場とするとよいだろう。この3枚が論理的につながっているかどうかが、説得力あるストーリーになっているかどうかの目安の1つになる。

【必読ポイント!】 資料を作る技術

資料が重要なのはなぜ?
Prykhodov/iStock/Thinkstock

プレゼンの 資料作りとは、頭の中の考えを目に見える形に具現化することである。そもそも資料が重要になるのはなぜか?

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要約公開日 2015.05.20
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