「マインドフルネス」。これは、今の瞬間に全意識を向ける、という意味の言葉である。創造性を発揮するために肝心なことは、心の内なる領域がどのような状態にあるか、ということである。自分の行っていることに集中する、つまり、今ここに意識を向けることで、初めて人は真に心を落ち着かせることができる。すると、直感力が研ぎ澄まされ、物事をはっきりと捉えられるようになる。膨大な情報を入手することができる現代社会において、個人や企業が創造性を発揮するのは、いかに正しい情報を得られるか、ということではなく、いかに活用できるか、という点である。直感力や洞察力が働く状態でなくては、このような情報の応用・活用は難しい。故に、マインドフルネスを実践することが重要であり、創造性溢れる生活の鍵となるのである。
テクノロジーの利用を有意義なものにするかしないかは、自分の内面の状態次第で決まる。その内面の状態とは、何に意識を向けるか、ということで決まり、意識のあり方によって、人はストレスを感じたり、安らぎを覚えたりする。従って、テクノロジーを上手く活用するには、何に意識を向けるか、ということが大事になる。
故に、まずは自分の内面の状態を知ることが不可欠となる。無意識のうちにPC画面に向かっていないか、疲れや不満に駆られていないか。そのような問いかけをすることで、無意識だったものが、意識されるようになり、より主体的に自分の行動を選択していくことができる。
しかし実際は、何にいちばん意識を向ける必要があるのかをその都度考えずに行動している人々がほとんどである。そのような状況では、テクノロジーの奴隷と化し、ストレスを溜め込む結果となる。忙しい現代社会において、マルチタスクは賞賛されがちであるが、ここはあえて「一度にひとつのことに意識を集中させる」ことを優先し、何に意識を向けるかを自分で選択することが重要となる。
テクノロジーが世界とのつながりを保ってくれるものだと誤解している人々は多い。しかし、つながりは決して絆と同じでないことに気付かなくてはならない。どれほどテクノロジーを利用しようが、それが自覚的に使われていなくてはかえって孤独感や虚しさが強まるだけである。むしろ、「つながり」とはその意味を広げて考えれば、既にできていることがほとんどであり、単に自分の心を開くだけで「つながり」を実感できるはずだ。
創造性を発揮するには、不安やストレスから解放されることが大切である。そのためには、まずは心のスペースを広げ、感情を受け止める余裕を持つことが不可欠である。例えば怒っている時に、素直に「私は今、怒っている」と事実を受け止め、無理にその感情がなかったことにはしない。そして、怒りのような負の感情に自ら気が付くことで、怒りに身を任せない、という行動を責任持って選択する。目の前の事実に意識を向けることで、忍耐心や事実を受け入れる余裕が生まれるのである。
また、ストレスを溜め込まない一つの秘訣は、何事も「無心で行う」ことである。多くのTo‐Doリストを抱えながら、忙しそうな素振りを見せない人もいれば、時間に追われて慌てふためく人もいる。この違いは、いかに目の前のことに集中できるか、である。
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