読んだら忘れない読書術

精神科医が教える
未読
読んだら忘れない読書術
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読んだら忘れない読書術
出版社
サンマーク出版
出版日
2015年04月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者は、スキマ時間だけで月に30冊の書籍を読み、年3冊の書籍を執筆し、ソーシャルメディアで毎日情報発信している、まさにインプットとアウトプットの達人である。その著者が推奨するのは、自己成長を目的とした読書であり、一冊一冊を真剣に選び、深く読む「量より質」の読書法である。また、どのように読書の時間を捻出するかという点では、スキマ時間を活かして行うことを推奨している。

本書では、読書法のみならず、読書の必要性、読書時間を確保する方法、書籍の選び方・買い方、電子書籍の賢い使い方など、読書に関する「いろは」が体系的に整理されている。また随所で、脳科学的な根拠や筆者の読書体験について語られており、納得性の高い内容となっている。

日本人の年間の読書量の平均は、年に12.3冊、つまり月に約1冊で、月に7冊読むことができれば読書量においては日本人の上位4%に入る、という統計が本書で紹介されている。読書好きが集まるフライヤー会員の皆様は、この上位4%に該当される方も多いだろうし、既に自分なりの読書法を確立されている方がほとんどではないかと思う。ただもし、「すごく面白かったのに、少し時間が経つと内容が思い出せない」という経験があったり、「自己成長につながらない読書は意味がない」と聞いて耳が痛かったりするのであれば、一読することをお勧めしたい。自分の読書法や読書体験を振り返り、より価値ある読書へと導く良い機会を得られるだろう。

著者

樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
メールマガジン「精神科医・樺沢紫苑 公式メルマガ」など15万部以上を配信している。その発行部数は国内でも屈指。
Facebookページの「いいね!」数は約14万で、個人では最大規模のFacebookページ運営者として知られている。Twitterフォロワーは約12万人。こうしたインターネット・メディアを駆使して、精神医学、心理学の知識や情報をわかりやすく発信している。「日本で最もインターネットに詳しい精神科医」として雑誌、新聞などの取材も多い。
また、過去20年間の読書数は6000冊以上にものぼる。その脳科学的な裏付けのある「記憶に残る読書術」により得た知識や情報をSNS上での紹介や執筆活動を通じて広くアウトプットしている。
著書に『メールの超プロが教える Gmail仕事術』『ツイッターの超プロが教える Facebook仕事術』『SNSの超プロが教える ソーシャルメディア文章術』(いずれもサンマーク出版)、『もう時間をムダにしない! 毎日90分でメール・ネット・SNSをすべて終わらせる99のシンプルな方法』(東洋経済新報社)、『頑張らなければ、病気は治る』(あさ出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    読書の目的は「自己成長」であり、そのためには、内容を記憶し、知識として定着させる必要がある。
  • 要点
    2
    「何度もアウトプットされる情報」と「心が動いた出来事」は記憶されやすい。
  • 要点
    3
    15分程度のスキマ時間を繰り返し活用することで、記憶力の高い状態での読書時間を確保できる。
  • 要点
    4
    「議論できる水準」になるまで理解するように「深く読む」ことが、読書の必要条件である。
  • 要点
    5
    「好きな著者」に会い、その人となりを知ることで、本の内容をより深く理解できるようになる。

要約

なぜ読書は必要なのか

「結晶化された知識」を得られるのが本

ネット、テレビ、新聞、雑誌、週刊誌などで得られる内容の大部分は「情報」である。一方、著者が情報を分析し、整理し、体系化してくれている「本」から得られるのは、「知識」である。「情報」は「事実」「結果」「事象」であり、1年たったら古くなるが、「知識」はそれらの積み重ねから得られる「エッセンス」であるため、10年たっても古くならない。つまり、実践可能、応用可能で、10年たっても風化することのない「結晶化された知識」を得られるのが「本」である。

読書によって得られること
thanaphiphat/iStock/Thinkstock

読書により、先人の試行錯誤の結果を参考にして、その知恵を借用することが可能になるため、時間の無駄を減らすことができるし、自分一人では乗り越えられない壁も乗り越えることができる。仕事力を高め、人生の選択肢を増やし、心配や悩みを解消することができるのだ。さらには、文章力を高めることや、脳を鍛えることもできる。読書により、脳が活性化し、脳のパフォーマンスが高まることや、言語情報に触れると不安が解消されることが、脳科学研究により示されている。

読書の最終目的は「自己成長」だが、読書の動機は「楽しいから」

「考え方」だけでなく実際に自分の「行動」が変化し、自分をとりまく現実が少しでも良くなるような読書をすべきである。1週間前に読んだ本なのに、人に内容を説明できないような読み方では、「自己成長」することは不可能である。本書の目的は「読んだら忘れない読書術」を身につけることで、自己成長を加速させ、あなたの現実を変えることである。

ただし、読書の動機は「楽しいから」であって、「自己成長のため」であってはならない。「自己成長のため」が動機の場合、結果は1、2ヶ月では出ないため逆にストレスになってしまい、記憶を強化する脳内物質ドーパミンは分泌されない。ただ楽しみながら読むだけで、ドーパミンが分泌されて、記憶にも残り、自己成長につながるのである。

「読んだら忘れない」精神科医の読書術、3つの基本原則

記憶に残る読書術
4774344sean/iStock/Thinkstock

「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」は忘れにくい。脳科学的には、「最初のインプットから7~10日以内に3~4回アウトプットする」というのが最も効果的な記憶術である。私が行っているアウトプットは次の4つであるが、1週間以内にその中の3つを行えば、行わないときと比べて圧倒的に記憶に残る。

1.本を読みながら、メモをとる、マーカーでラインを引く。

2.本の内容を人に話す。本を人に勧める。

3.本の感想や気づき、名言をFacebookやTwitterでシェアする。

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要約公開日 2015.07.06
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