私たちは教育を受けてきている。しかし、教育だけではそれなりの人生しか送ることができず、より良い人生、より良い仕事、より良い生活を送るためには教養が必要である。インプットを増やしストックしてある知識や情報の量が多くなるほど、アウトプットの幅が広がり発想力が豊かになり、思考や直感など脳の活動の精度は高くなる。
著者は、教養を身に付ける術は「人」から学ぶ、「本」から学ぶ、「旅」から学ぶ、の3つ以外にないと考えている。加えて、世界を正しく理解するために、「タテヨコ思考」で物事を捉えるようにしている。タテ思考(時間軸)は人類のまたは会社の歴史と照らし合わせて考えること、ヨコ思考(空間軸)は世界の人々や他社の状況を照らし合せて考えることである。人、本、旅から得た教養をタテヨコに展開していけば、ほぼ全ての事柄において現在の自分のポジションを理解することができ、個人の主観に影響されることなく、正しい答えになることが多い。
著者が考える本の優位性として、①何百年も読み継がれた本(古典)は当たりはずれが少ない、②コストと時間がかからない、③場所を選ばずどこでも情報が入る、④時間軸と空間軸が圧倒的に広くて深い、⑤実体験にも勝るイメージが得られる、の5つを挙げている。人に会って話を聞くには時間とお金がかかるし、宇宙に飛び出すことはなかなかできない。旅や人に会うことは、五感すべてを使って味わうことができる一方で、つまらない場所へ行ったりつまらない人と会ったりする可能性もある。それならば、優れた本を読んだ方が影響力は高いだろう。
音楽が好きなら、音楽を突き詰めればよい。どんなことでも探究していけば、歴史や経済などを知る手がかりになり、さまざまな分野の教養へと幅を広げることができる。
新聞は、速報性に限界があるが文脈が理解できる。複数の新聞を読み比べると異なる意見を発見でき、それがとても良い学びになる。インターネットは速報性に加えて検索性に優れたツールだが、正確性の乏しい情報もあり、信頼がおけるソースかどうかを見極める賢さが必要になる。本は、インターネットに比べ、物事や出来事の全体像を知ることができる。教養は全体的な知識を身に付けた方がいいと著者は考えており、それには本がもっとも適しているのだという。
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